ふるさとビジター館 いちはら自然探訪 オオバン

 最近、街中の池でもよく見られるようになったオオバン。白色の嘴と額以外ほぼ全身黒色をした全長36センチ位の水鳥である。全身に斑や縞模様等が少なく、白色、黒色で構成された単純な色彩で、赤いつぶらな目が印象的である。以前は冬鳥で、秋田県以北で繁殖し、越冬期には西日本へ渡ってくる野鳥だったようだ。
 それが1980年代から日本での越冬・繁殖分布が広がり始め、1990年代以降は九州より北のほとんどの地域で繁殖・越冬するようになり、今ではどこの水辺でも一年中見られるようになった。理由は特定されていないが、北方の繁殖地で数を増やし、生息域が南方に広がっており、その結果渡りをする個体だけでなく留鳥の個体も増えたという説もある。
 湖沼や川だけでなく、海辺でも見かける。集団で水辺に浮いており、時折水中に潜って、水草などを食する。カモのように水かきはないが、指の両側が平たく広がった弁足と呼ばれる足指で上手に泳いだり潜ったりできるようだ。人や天敵の気配がないときは、集団で陸に上がり、陸上の植物の葉を食することがある。水草が少ない環境の場合は特にその傾向が強いようだ。人が近づくなど危険を察知すると、弁足でぎこちなくヨチヨチと歩き、一斉に水に逃げる。それがユーモラスで、可愛らしい。身近な水辺に生息しているので、散歩がてらに観察してみよう。
(ナチュラリストネット/岡嘉弘)

ナチュラリストネット
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