『コハク倶楽部』女性トリオが奏でる音

『コハク倶楽部』ピアノ・チェロ・ヴァイオリンの女性トリオが奏でる音

 市原市辰巳台のピアノ教室に女性トリオ『コハク倶楽部』の演奏する『涙そうそう』が流れる。チェロを担当する近藤晶子さん(57)は、自宅のピアノ教室で講師をしている。力強い音なのにどこか軽やかなメロディを残す弾き手のピアノ担当は山口千晶 さん(34)。抑揚をしっかりと付けてヴァイオリンの音色を響かせるのは大内晴美さん(39)。普段はヴァイオリンの講師だ。「結成は9年前。近藤さんは市原市のオーケストラで一緒に演奏していた方。コハク倶楽部の由来は弦楽器の琥珀色をイメージした」と大内さんが言う。そこに近藤さんの娘、千晶さんが加わりトリオに。
 今まで市原市にある幼稚園や労災病院、老人ホームや学校など様々な場所で演奏会を行ってきた。「私達が親子であることでのメリットは、はっきりとした意見が飛び交うこと。チェロとヴァイオリンは夫婦のような関係。どちらもメロディを奏でられて、ピアノは2つを宿す家のような存在。魅力ある演奏形態」と近藤さんも続ける。千晶さんと大内さんも幼少時代から音楽に慣れ親しんだ生活を送ってきた。千晶さんは、「みんながそれなりの経験をしてきているので、音を通しての意志疎通もとてもスムーズ」と快活に話しながら、近藤さんの手にある譜面を覗き込んだ。
 活動を始めた頃は、トリオ専用の譜面が一般に販売されていなかった。近藤さんはピアノ講師をしていることで、膨大にあるピアノの譜面が頭に入っている。そこで、ピアノの楽譜を元にトリオ独自の譜面を手書きで作成。今ではレパートリーが100曲を超える。そんな近藤さんを、娘の千晶さんは「親でありライバル」と断言。そして、「音楽は私の生活になくてはならないもの。母は、3人で演奏する環境を作ってくれた。音楽について揉めたときも、私自身を認めてくれている」と感謝の心も。3人が互いに認め合い尊重し合えているからこそ三重奏が聴いているものにも心地よく響く。
「プロとは違い、ジブリやディズニーなどみんなが知っている曲目を演奏することが多い。クラシックもやるが、親しみやすさを目的としている。ボランティア演奏も積極的に行っているので、コハク倶楽部と優雅で楽しい癒しのひとときを過ごしませんか」と近藤さん。その通り、曲の間に挟むトークの面白さには定評があるという。モーツァルトの死後に彼の骨がどうなったのか。また、なぜモーツァルトの曲が胎教にいいと言われるのかなど、思わず身を乗り出して答えを聞きたくなってしまう。「昔は音楽に興味がある人が聴けばいいと思っていたが、それは違う。興味を持ってもらうことも責任だと思う」と、最後に近藤さんが締めくくった。

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1.  市原市は市制施行60周年を記念し、『エンジン01(ゼロワン)in市原』を2024年1月26日(金)~28日(日)に開催する。先月8月25日…
  2.  マザー牧場(富津市)では、ひと足早く秋先取りの絶景が登場。まきばエリア 『花の大斜面・東』にて、 2年目となる『コキア』が9月上旬より紅葉…
  3.  心ない行動や言葉が、人を追い詰め事件になるケースも多い昨今。この本『慈雨』の筆者・大木太枝(たえ)さんも、20数年前、愛する家族が他人の中…
  4.  9月30日(土)・10月1日(日)の2日間、上総更級公園や上総大路などで、『上総いちはら国府祭り』が4年ぶりに開催される(主催:上総いちは…
  5.  絵本作家の五味太郎さんが書いた本に『じょうぶな頭とかしこい体になるために』という本があります。「何をしたいか自分でもよくわからないんだ」と…
  6.  今回から前後編で、世界に名を轟かせた黒澤明監督に関するお話です。黒澤明:1910年(明治43年)3月23日生~1998年(平成10年)9月…
  7.  牛久石名坂1号墳跡は、市原市のほぼ中央に位置し、国道が縦横に走る養老川中域の標高37メートルの河岸段丘上にあります。周囲には大小の古墳が9…
  8.  8月21日から23日の3日間、野田市にある江崎グリコ株式会社の工場見学施設『グリコピアCHIBA』にて、小学生とその家族を対象としたワーク…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1.  9月30日(土)・10月1日(日)の2日間、上総更級公園や上総大路などで、『上総いちはら国府祭り』が4年ぶりに開催される(主催:上総いちは…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る