『コハク倶楽部』女性トリオが奏でる音
- 2013/2/22
- 市原版

『コハク倶楽部』ピアノ・チェロ・ヴァイオリンの女性トリオが奏でる音
市原市辰巳台のピアノ教室に女性トリオ『コハク倶楽部』の演奏する『涙そうそう』が流れる。チェロを担当する近藤晶子さん(57)は、自宅のピアノ教室で講師をしている。力強い音なのにどこか軽やかなメロディを残す弾き手のピアノ担当は山口千晶 さん(34)。抑揚をしっかりと付けてヴァイオリンの音色を響かせるのは大内晴美さん(39)。普段はヴァイオリンの講師だ。「結成は9年前。近藤さんは市原市のオーケストラで一緒に演奏していた方。コハク倶楽部の由来は弦楽器の琥珀色をイメージした」と大内さんが言う。そこに近藤さんの娘、千晶さんが加わりトリオに。
今まで市原市にある幼稚園や労災病院、老人ホームや学校など様々な場所で演奏会を行ってきた。「私達が親子であることでのメリットは、はっきりとした意見が飛び交うこと。チェロとヴァイオリンは夫婦のような関係。どちらもメロディを奏でられて、ピアノは2つを宿す家のような存在。魅力ある演奏形態」と近藤さんも続ける。千晶さんと大内さんも幼少時代から音楽に慣れ親しんだ生活を送ってきた。千晶さんは、「みんながそれなりの経験をしてきているので、音を通しての意志疎通もとてもスムーズ」と快活に話しながら、近藤さんの手にある譜面を覗き込んだ。
活動を始めた頃は、トリオ専用の譜面が一般に販売されていなかった。近藤さんはピアノ講師をしていることで、膨大にあるピアノの譜面が頭に入っている。そこで、ピアノの楽譜を元にトリオ独自の譜面を手書きで作成。今ではレパートリーが100曲を超える。そんな近藤さんを、娘の千晶さんは「親でありライバル」と断言。そして、「音楽は私の生活になくてはならないもの。母は、3人で演奏する環境を作ってくれた。音楽について揉めたときも、私自身を認めてくれている」と感謝の心も。3人が互いに認め合い尊重し合えているからこそ三重奏が聴いているものにも心地よく響く。
「プロとは違い、ジブリやディズニーなどみんなが知っている曲目を演奏することが多い。クラシックもやるが、親しみやすさを目的としている。ボランティア演奏も積極的に行っているので、コハク倶楽部と優雅で楽しい癒しのひとときを過ごしませんか」と近藤さん。その通り、曲の間に挟むトークの面白さには定評があるという。モーツァルトの死後に彼の骨がどうなったのか。また、なぜモーツァルトの曲が胎教にいいと言われるのかなど、思わず身を乗り出して答えを聞きたくなってしまう。「昔は音楽に興味がある人が聴けばいいと思っていたが、それは違う。興味を持ってもらうことも責任だと思う」と、最後に近藤さんが締めくくった。