米沢の森、頂上からの眺望

米沢の森、頂上からの眺望

「ひむがしの野に/かぎろひのたつみえて/かえりみすれば/つきたかぶきぬ」柿本人麻呂の歌の情景に浸ろうと『市原米沢の森を考える会』による『かぎろひを観る会』が昨年12月21日、米沢の森の頂上、御十八夜で行われた。午前7時頃、既に白々としていた東の空が、たなびく雲の端からゆっくりと茜色に染まっていった。煌煌とした朝日が顔を出したのは7時半頃。振り向けば西の空には、満月が少し欠けた居待月が沈んでいくのが見え、その下にはうっすらと朝焼けに染まった富士山の姿が。雲が多く絶景とまではいかなかったが、20名ほどの参加者は寒さを忘れて目を輝かせた。
 同会が発足してから10年が経とうとしている。行政や民間の支援を受けながら約40名のメンバーが入れ替わりで里山整備に精を出している。スギなどの常緑針葉樹やタケが繁茂し過ぎた森の地表には年中太陽光が届かない。草も生えなくなる。動物は食べる木の実がないので人里に下りてきてしまう。里山と密接に関わっていた昔の生活では燃料に薪を使うため適度な伐採が行われていたが、今日では定期的に人の手を入れないと生態系が崩れてしまいかねない。「里山に手を入れると、隠れていた古墳や石仏など歴史的文化も見えてくる。頂上の御十八夜も昔は月見の名所だったと聞くが、5年ほど前までは鬱蒼としていて足を踏み入れることもできなかった。見晴らしのよくなった里山には人が集う。県下オンリーワンの景観を目指しています。できる時にできる人ができる事をやる。自らの健康作りにもなります。一緒に活動してくれる人を募集しています」と同会代表の鶴岡清次さん。
 同会では、しいたけ作りや竹細工など他にも様々なイベントを行っている。3月21日から開催される『中房総国際芸術祭いちはらアート×ミックス』で桜房山桜広場を山桜と菜の花でいっぱいにするため、昨年6月から汗だくになりながら荒れ果てた森を切り拓き菜種を蒔いた。4月の上旬が見頃だとか。
 かぎろひを見た後はメンバーの好意により、焚き火の周りで温かいカレーが振る舞われた。「普段目にしている景色がこんなに素晴らしく見えるとは」と初参加者も満足した様子だった。

問合せ 鶴岡さん
TEL 080・5526・8133

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】「手作りの電飾」木村順一  恒例の市原市写真連盟展が11/1(金)~6(水)、夢ホール(市原市更級・スポーツデポ市…
  2.  銚子市は、漁業と醤油の街として有名ですが、2012年に銚子市全域が日本ジオパーク委員会から「銚子ジオパーク」として認定されました。ジオパー…
  3. 【写真】真光寺仏殿(左)。右側は薬師堂が建つ前、本尊を安置していた書院  市原市との市境にある緑豊かな里山、袖ケ浦市川原井…
  4.  10/12(土)から12/15(日)まで開催される、市原歴史博物館(市原市能満)の特別展「旅するはにわ~房総の埴輪にみる地域間交流~」。千…
  5. 【写真】日展 彫刻 2023年  都内六本木の国立新美術館にて、11月1日(金)から24日(日)まで『第11回日展』が開催…
  6.  秋の里山では、山の幸クリの殻斗(いが)の棘が茶色く変わり始め目立つようになる。葉が覆い茂っている林では見分けにくい。花が咲く6月と殻斗が割…
  7. 【写真】Frederic Edward Weatherly『Peeps into Fairyland(妖精の国を覗き見る)』 …
  8. 【写真】お店の前で。『十五や』のTシャツを着た藤本さん(後列中央)と田頭さん(右隣)  緑豊かな市原市東国吉で、県道21号…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】真光寺仏殿(左)。右側は薬師堂が建つ前、本尊を安置していた書院  市原市との市境にある緑豊かな里山、袖ケ浦市川原井…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る