多彩な芸術文化と学び合いの継承を

 10月30日から11月3日まで、五井会館で『第53回市原市美術展覧会』が開かれた。日本画・水墨、洋画、書、彫刻・工芸と多彩な作品の展示数は276点。個性あふれる作品の一つひとつから作家の熱い魂を感じた。市原の芸術文化の振興と次代を担う人間教育に尽力している市原市美術会会長の飯髙和子さんは「展示作品は276名の命の結晶。ありがたいことです」と話した。
 書の作品は漢字、仮名、詩文書、篆刻や墨象、横書きや英文で表したものなど実に多種多様。中でも、紺紙に、金、銀の楷書文字をしたためた紺紙金銀泥細楷書法(こんしきんぎんでいさいかいしょほう)は飯_さんと市美展の作家達が伝統を現在に生かしている市原市発、国内外注目の書法。
 準大賞、木村悦子さんの『針切(はりぎれ)』は平安朝の_仮名古典を料紙に原寸臨書した絶妙な秀作。「選ばれて光栄です」と話した。
 今年成人を迎えた、難病を患っている息子への語りを、淡墨で柔らかく表した成田澄水(ちょうすい)さんの作品『ひろ君はたち』は山口達賞を受賞。母親と息子の浩基さんも入賞を果たしており、学び合う親子3代の作品には心を動かされる。会場では、浩基さんが、入所している『アトリエけやき』の仲間を嬉しそうに案内する姿が見られた。青森県出身の野口_徇風(じゅんぷう)さんの、八戸小唄と福島県の民謡を綴った『ふるさとに笑顔を』は東日本大震災の被災地に祈りを捧げた書。古城江観賞を受賞した。入賞は逃したが、動きのある力強い字で宮沢賢治の『雨ニモマケズ』を表した高浦英一さんの作品も素晴らしい。タイトルは『息子よ』だ。

 今回の大賞は洋画で、独自の世界観をコンピューターグラフィックで表した『SELFPORTRATE(自我像)』。作家の本川和史(もとかわかずひと)さんは「デザイン作品を評価いただき感激です」とコメントした。 
 高校芸術の教育に力を入れている同展覧会では高校生の出品は無料。新設した高等学校団体奨励賞には県立袖ヶ浦高校の書道が選ばれた。
 墨流しと和紙ちぎり絵のワークショップコーナーも設けられており、葉書作成を楽しむなど、交歓交流風景で賑わった5日間の来場者数は1429名。「皆様の努力にいつも感動しています」と毎年来場している野村_亮(まこと)さん。飯_さんは紺紙金銀泥で表した「うれしさは人との出会い 慈(いつくしむ)」を出品。「自分と異なる作品と触れ合うことはお互いに勉強になる。次回の開催に向けて努力します」と第54回展への決意を語った。

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