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仲間と共にがんと向き合う
- 2015/1/16
- 市原版, シティライフ掲載記事
もしあなたが、がんの宣告を受けたなら、どんなことを感じ、どんなことを考えるだろうか。お互いの悩みについて語り合い、励まし合う。そして同じ体験者同士、がんと向き合い、最後まで自分らしく生きていこうと活動をスタートさせた『行動するガン患者会「アクティブ」』。昨年末、五井公民館で、同会の結成総会と千葉県がんセンター精神腫瘍科部長の秋月伸哉医師による記念講演が行われた。
会長に就任したのは、発起人の穂坂憲茂さん(市内在住)。10年前に胃がんが見つかり、3度の手術を乗り越えた。「がん患者は肉体的、精神的、社会的(経済的)な痛みを抱えて生きることになります。肉体的な痛みは病院で解決できる。ここは精神的な痛みを分かち合い和らげる場所。体験者だからこそできることがあるはず」と昨年の7月に準備会を立ち上げた。
オープニングでは、サークル『アコーディオンいちはら』が『お正月』と『故郷』を演奏し、45名の聴講者の合唱で明るくスタート。開会の挨拶では男性が「元気そうに見えますが、先月、がんの告知を受けました。今は冷静な気持ちを取り戻しつつあります。スポーツが大好き。今後も様々なことに挑戦していきたい」と述べた。
記念講演のテーマは『がん患者の心のケアと精神腫瘍科の紹介』。がん患者は、抗がん剤の副作用は大丈夫かな、不安で夜も眠れない、など様々なストレスを抱えながら生きている。精神腫瘍学とは、がんが心にどう影響するか、気持ちの持ちようが生存期間に影響を与えるか否かなど、心とがんの関係について研究する学問。現時点では、気持ちの持ち方と生存期間の関係は証明されておらず、「病は気から」というが、前向きにならなければとプレッシャーを感じる必要はない。自分ががんだと知ると落ち込む人が多いが、落ち込む期間はそう長くは続かない。数週間ほどで自然と気持ちが整理できてくることが多く、心の痛みを和らげるためには身近な人に気持ちを打ち明けたり、自分に当てはまる正しい情報を集めたりすることが役に立つ。また、県内に14カ所あるがん診療連携拠点病院内に設置されている相談支援センターを利用することもおすすめ。がんに関するあらゆる悩みについて相談することができる。「主治医以外に相談できる場所を持つことが必要です」と秋月さん。
この日、33名でスタートを切った『アクティブ』では、料理教室や音楽、ラフターヨガ(笑いヨガ)など年間を通して様々な活動を予定している。昨年、咽頭がんを患い療養中だという50代の男性は「当初はどうしていいかわからず食事も喉を通りませんでした。社会復帰できたのは相談支援センターのサポートのおかげ。自らの体験を生かし、何か手助けができたらと会員になりました」と穏やかな口調で話した。
穂坂さんは「あわてず、あせらず、しかしあきらめずにできることをひとつ一つやっていきましょう」と明るい笑顔で総会を締めくくった。会員募集中。
問合せ 穂坂さん
TEL 090・1207・6151