大切なのは、勝ちたいと思う気持ち

県内で唯一の中学生女子ソフトボールクラブチーム『市原コスモジュニア』

 昨年末に東海大学付属望洋高校で行われた『第9回望洋杯ソフトボール大会』。予選リーグを3勝1敗で勝ち抜き、リーグ決定戦と決勝リーグを圧勝で制し見事に優勝を決めた『市原コスモジュニア』。県内で唯一の中学生女子ソフトボールクラブチームだ。現在の選手は男子1名を含む、わずか12名。男子は公式試合に出ることはできないが、練習を共にしている。小学生の頃、全国大会に出場した選手を中心に、君津市、八千代市、千葉市など県内各地から集まってきた。と書くと、厳しい練習を毎日こなしている強豪チームを思い浮かべるかもしれないが、練習風景を見たところ、特にがむしゃらに頑張っているイメージはない。「もちろん厳しくする時には厳しくしますが、普段はのびのび、仲良くやっている感じですね」と監督の石峯玄規(げんき)さんと監督のサポート及びチーム世話役の金城弦(きんじょうげん)さん。練習は毎週土日と祝日のみ。八幡運動公園サッカー場ほかのグラウンドで行っている。あとはランニングや素振りなど、放課後それぞれの生活に合った自主練を行っているだけ。「特別に厳しい練習はしません。強さの秘訣は勝ちたいと思う気持ちの強さ」と話すが、優勝を決めた『望洋杯』1日目の予選リーグでは、その勝ちたいという気持ちが見えなかったという。ゆえに船橋市立船橋中学校に1敗を喫した。「立ち上がりの雰囲気が悪いことが多く、序盤に先制点を許してしまうことが課題」だと石峯さん。しかし、その反省を生かし、2、3日目からは好スタートを切ることができた。守備時にもしっかりと掛け声が出ていて、プレー一つひとつに丁寧さが見られた。結果、決勝リーグでは市原市立国分寺台中学校に5対0で、習志野市立第二中学校には10対1という大差をつけての勝利となった。
『市原コスモジュニア』の創設は平成23年。市原市内の中学校ソフトボール部の減少を危惧した千葉県ソフトボール協会事務局長の鈴木恒行さんが立ち上げた。現在、市内の中学校でソフトボール部が設けられているのは5校だけだという。小学生の頃にソフトボールをやっていても、卒業後に続けられる環境がない。続けてプレーしたいと思っている子たちのためにと創られた同チームは男子1名、女子1名でのスタートだった。以降、市原市ソフトボール協会からの支援を受け、一般のレディース大会に参加するなど地道に活動を続け、徐々に部員を増やしていった。そして2014年度に漸く9名に達し、チームとして試合に参加できるように。当時在籍していた男子は現在、千葉敬愛高校の男子ソフトボールクラブに所属し、国民体育大会やインターハイにも出場している。
 2014年度は『全日本中学生大会』千葉県予選で準優勝した。現在は、今年の8月に行われる同大会に向けて練習に励んでいる。
 勝浦市立北中学校2年、キャプテンの中村奏さんは同チームメンバーのことを「一人ひとり個性があって、ソフトボールに熱い情熱を持っている。お互いのことを思いやり、認め合っているいい仲間」だと話す。勝利の喜びを共に分かち合う瞬間が最高に楽しいのだとか。唯一の男子選手、市原市立辰巳台中学校1年の佐久間輝くんはピッチャー。「様々なタイプのバッターから三振を取れるようなピッチャーになりたい」と抱負を語った。
 同チームの監督とコーチは、市原市ソフトボール協会公認の現役選手と監督の6名。全国大会経験者ばかりで信頼が厚い。県内のソフトボール普及に尽力している鈴木さんは「千葉県内で強いソフトボールチームを作ることが目標。将来、ソフトボールがオリンピック種目に認定されるかもしれない。未来のオリンピック選手を輩出できれば」と話し、『市原コスモジュニア』について「チームワークがよく、和気あいあいとした雰囲気です。経験者でなくてもソフトボールが好きなら楽しくやっていけますよ」と笑顔で呼びかける。少年野球経験者も大歓迎。3月15日(日)に市原市の八幡運動公園サッカー場で午前9時から体験練習会あり。

問合せ 鈴木さん
TEL 090・1421・8198

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