海は私の先生 絵を描く力をもらっています

ミランダ・セレーヌさん(いすみ市)

 「私の使命は、すべての国の人が楽しめるアートで、この世界を美しくすること」と話すミランダ・セレーヌさん(36)は抽象画家。アメリカのロッキー山脈で有名なコロラド州の出身だ。ミランダさんは小さい頃から画家になるのが夢。幼稚園で「あなたは将来、何になりたいか」というコスチュームイベントに、ダンボールでパレットを作り、ベレー帽をかぶり、着ているスモックに絵の具を塗りつけた画家のいでたちで参加したほど。
 母親は弁護士になることを勧めたが、大学では5年をかけ、マス・コミュニケーションやジャーナリズム、アート(写真)を学んだ。写真は特に興味があり、授業が終わった後、大学の暗室に週3回、3~5時間は入る生活を送ったという。そして卒業後、ニューメキシコ州ラスベガスに移り、新聞社の政治、犯罪、文化部の記者として働いた。
 「あるカフェで絵の個展が開催されていたので見に行きました。面白い色使いで、必ず猫や動物が描かれていました。描いたのは日本人の男性で、柔道家でもあり、ラスベガスの道場で指導もしていました。早速インタビューを申し込み、記事にしましたが、それがきっかけで付き合いが始まり、知り合って1年後の2006年、日本では七夕の7月7日に結婚しました」結婚式はラスベガスであげたが、結婚後は日本に1年くらい住むつもりで夫の実家の別荘がある、いすみ市に1カ月滞在した。ちょうど『大原はだか祭り』が開催されていたので見に行ったが、祭りの担ぎ手の体の内から湧き出るようなエネルギーに圧倒され、初めて嗅ぐ屋台の焼きそばやタコ焼きの匂いに驚いた。そして実際に食べてみるととても美味しかったそうだ。
 その後、アメリカには戻らず日本に住むことになったが、仕事の関係で東京に近い流山市に家を借りた。いすみ市には時々遊びに来ていて、昨年の8月、以前から興味があったサーフィンを始めることにした。故郷には海がなかったので新鮮な楽しさがあり、海に入ると無心になれ、日頃感じる不安が無くなったという。
 「人生とサーフィンは感覚が同じ。人生には良い時と悪い時があり、海の波も良かったり悪かったりです。悪い波が来たら怖くなりますが、それを乗り越える勇気を海からもらっています」昨年12月、離婚した。アメリカに帰ることも考え、荷物をまとめ始めると何故か気分が悪くなった。それならと、以前から運命のようなものを感じ、また好きな時にサーフィンができる、いすみ市に住むことにした。
 ミランダさんの描く絵は自分の怒り、幸せ、悲しみといった感情が色や線で表れる。渡された名刺の絵は「タコの骸骨」。ユニークなデザインと色使いに特徴がある。往々にしてピンクとスカイブル-が配色されている時の気分はハッピーのよう。キャンバスや板、布にスプレーペイントやアクリル絵の具、そしてポスカ(サインペン)を使って自由に描く。
 知り合いから頼まれ、サーフボードにも描くこともある。家の至る所に絵や写真が飾られている。気に入ったものを集め飾りつけたアトリエでの制作が主だが、描く題材によって外に出て木々を見ながら描いたりもする。根を詰めてモチベーションが下がると他のことをして気分を変えるのも大事と、サーフボードを車に乗せ海へ出かける。「海の上で波を待っている時の視界に入る風景が好き。海から感じるエネルギーは創作活動をする上で助けになっています」
 好きな漢字は「絆」。日本に来てから10年が経ち、夏は花火や浴衣に風鈴、冬は炬燵で食べる鍋といった日本の文化が大好き。また地域に住む人たちから受ける思いやりが嬉しく、日本での生活は心地いいと話す。
 画家として地元や東京で個展を計画しており、将来はネットを通じて自分の絵を紹介することを考えている。年末にはコロラドのデンバーで、また来年はニューヨークで個展を開催する計画。いすみ市から世界に向けて発信するミランダさんのアートに期待したい。

問合せ Miranda Celeneさん
https://www.facebook.com/sunflowersurf/
Instagram: miranda_celene

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