一本桜に惚れ込んだ男の情熱と地主や仲間の協力で桜の名所誕生

大俵桜の里保存会

 市原市姉崎地区にある不入斗と片又木にはさまれた里山にある大俵一本桜。今でこそ知る人ぞ知る桜の名所・お花見ニュースポット『迎田の大俵桜の里』だが、4年前までは、地元の限られた人しか、その存在は知られていなかった。それもそのはず、30年以上前は畑だった場所は荒れ果て、桜の周囲は竹藪に覆われ鬱蒼とした森になっていたからだ。
 近くの青葉台に住む谷垣敬次郎さん(77)は、昔から「公園や堤などの人工的に植えられた桜とは違う、自然の風雪に耐えた美しさ、凛々しさがある」と山里の一本桜に恋い焦がれ、全国各地の一本桜に会いに出かけた。これを知った友人から、近所に樹周3メートルを超える見事な山桜があると聞き、11年前に探し当てたところ、「のびのびと扇形に枝を伸ばした姿は優美の一言に尽きる」と一目惚れ。即座に「木の周辺をきれいにし、菜の花も植えて、多くの人に見てもらおう」と決意したという。
 そして谷垣さんがシティライフに手紙を送ってきたのは2013年1月。70歳で現役を引退したのち、地主さんの承諾を得て開墾を始め、コツコツと草刈りを続け、菜の花の種を蒔いた。樹齢150年と推定した地元の隠れた名木に光を当てたいという熱い想いが綴られてあった。早速、取材に伺い3月末号に記事を掲載したら、4月上旬、約1500人が桜見物に訪れた。更なる周知が必要と翌14年、15年と、谷垣さんに寄稿を依頼し記事を掲載。「桜と菜の花のコラボが美しい」と来場者は2千人、4千人と増え続け、昨春は5千人以上が訪れた。今春で初のお披露目から5年目を迎える。
 ひとりで始めた桜の里づくりだったが、今では桜の周辺を整備・維持管理する活動に賛同し一緒に作業するボランティア仲間も11人に増え『大俵桜の里保存会』を発足した。谷垣さんは「活動日は毎週(火)・(土)9時から正午までですが、参加自由としている。私は去年一昨年と年間200日くらい山に通っています。草刈りや倒木の処理だけでなく看板の設置や道路の整備、菜の花の刈り取りに種の採取、花壇の植え替えなど年間通して作業はあるけれど、人数が増えたので随分と効率が良くなりました。枯れ木の伐採を進めるうちに新たに山桜の木も発見し、中には一本桜に匹敵する大きな『姉妹桜』も。間伐により美しい竹林もご覧いただけるようになりました」と話す。
 また、お披露目を重ねるごとに問題点も出てきたが、クリアしてきた。「のんびり花を眺めて過ごしたいという声に応えて、テーブル&ベンチを8カ所に設置しました。あと、トイレの確保をと、桜の広場に仮設トイレを用意しました」と谷垣さん。他にも昨年、姉崎高校吹奏楽部の演奏会を開催するにあたり、電源の確保が必要になったが、車から引くことで解決した。
 桜の花見以外にも、夏はアガパンサスやダリア、秋はヒガンバナやハゼランなど季節の花々を眺めに訪れる人も多い。ボーイスカウトやガールスカウトの野外活動や近隣の公民館主催のウオーキング、小学生の自然観察等々、四季を通じて市内外の老若男女が訪れる。谷垣さんは「結婚40周年記念に訪れたご家族もいらっしゃり嬉しかったです。今後はBBQなど家族のアウトドアレジャーの場としても楽しんでもらえたら。皆様の思い出ぐくりや安らぎの場となればいいですね」と微笑む。
 今年は甘酒ふるまいや吹奏楽演奏は行われないが、屋外写真展は開催。4月2日10時からテント前にて、里山で採取したアサガオの種を先着100人に、クンシランの種を50人に、コウテイダリアの苗を50人に無料配布する。4月2日に桜が満開になればライトアップを予定。尚、募金箱を設置、寄付を募っている。工具や肥料の購入費に充てたいとのこと。
 開花状況など問い合わせは谷垣さんへ。

問合せ 谷垣さん
TEL 090・1817・6303

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