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ふるさとビジター館
- 2017/5/18
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毒痛みか毒溜めかドクダミ
里山の陽があたる所とあたらない所の境目で白い花が咲き始めた。半日陰地に好んで群生するドクダミ(蕺草)だ。しぶき(蕺)という見慣れない字はドクダミの古語。
ドクダミ科ドクダミ属の多年草で、高さ15~30センチ、地下の白い根茎が横に伸びて繁茂する。地上の茎はよく分枝してやや赤みを帯びる。葉は互生、長さ5センチ、先が短くとがる心形。暗緑色の葉は柄や縁に赤みがある。茎上部の白い十字花冠のように見えるのは総苞片。その上に長さ1~3センチの花穂を出し、小さな花を多数つける。一つ一つの花に花弁はなく、黄色は飛び出した雄しべの葯。柔らかな葉をもむと一種独特の臭いがする。
名前の由来は、毒や痛みに効くという「毒痛み」と、なにかの毒が入っている臭気ではと「毒溜め」の二通りある。ドクダミは古書の「わが国の馬医、これを馬に用いると、十種の薬の効能があるので、十薬という」から、漢方の生薬名が十薬(じゅうやく)。民間薬としても万病に向く薬草として塗布剤、入浴剤、お茶などに使われてきた。アニメのアンパンマンに登場するドクダミ夫人はドクダミ茶を作ることから子供たちにはなじみのキャラクター。
野草料理に参加した時は臭いに敬遠して、食材から除いた。紙に挟んで火に炙ったり、茹でて水にさらすなど、高熱処理でいやな臭いは消失するそうだ。生の葉も揉まなければ臭わないようで、白い花の群生を見たとき、臭いに気付かなかった。群生地の奥も見たかったが踏み歩いて靴に臭いが残ると困るので思いとどまった。
市原の自然は豊かで美しい、いつまでも大切に残していきたい。
(ナチュラリストネット/野坂伸一郎)