ふるさとビジター館 いちはら自然探訪 ジョロウグモ

 夏から秋、山道を歩くと突然クモの糸に引っかかることがある。クモには申し訳ないが、その後は木の枝を手に、巣を除去しながら歩く。この季節、大きな巣を張る一般的なクモは、ジョロウグモやコガネグモだ。ジョロウグモはコガネグモより大きく、メスで20~30ミリほど、腹部に黄色と暗青色の縞模様がある。人家周辺から山間部まで普通に見られ、目の細かい複雑で大きな円状の網を張る。
クモの巣を見ると大きな個体が目に付く。獲物が網にかかるのをまっているメスだ。視覚はあまり良くないと言われ、主に糸に伝わる振動で察知するようである。昆虫がかかり暴れると一目散にやってきて、糸を掃き出しグルグル巻きにしてしまう。
巣をよく見ると、端に小さなクモがいることに気が付く。オスである。メスよりもはるかに小さい姿にびっくりする。オスは交尾の機会を伺い、じっとしている。下手に動くと振動で察知されメスに食べられてしまうからだ。そのため、オスは、メスの攻撃性が弱くなる脱皮時や食事時に交尾を行うとされる。交尾も命がけである。
名前の由来は「女郎」とか「じょうろう(高級女官)」で、華やかな女性のイメージが由来のようだ。英名も由来は不明だが「Joro Spider」と日本語の呼び方と同じようである。クモの巣をみたら、じっくり観察してみよう。細い糸で巧みに形成された芸術とも言える巣、静から動への素早い行動など、クモが苦手な人も見方を変えれば少しは興味を持てるかもしれません。
(ナチュラリストネット/岡嘉弘)

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】第1展示室  人々の暮らしを様々な面で支えている人工衛星。ロケットで打ち上げられた人工衛星は地球の周回軌道に投入さ…
  2. 【写真】教室の講師と子どもたち  JR浜野駅前と五井駅前でダンススタジオを経営する堀切徳彦さんは、ダンス仲間にはNALUの…
  3.  市原市不入の市原湖畔美術館にて、企画展『レイクサイドスペシフィック!─夏休みの美術館観察』が7月20日(土)に開幕する。同館は1995年竣…
  4. 【写真】長沼結子さん(中央)と信啓さん(右) 『ちょうなん西小カフェ』は、長生郡長南町の100年以上続いた小学校の廃校をリ…
  5.  沢沿いを歩いていたら、枯れ木にイヌセンボンタケがびっしりと出ていました。傘の大きさは1センチほどの小さなキノコです。イヌと名の付くものは人…
  6. 『道の駅グリーンファーム館山』は、館山市が掲げる地域振興策『食のまちづくり』の拠点施設として今年2月にオープン。温暖な気候と豊かな自然に恵…
  7.  睦沢町在住の風景写真家・清野彰さん写真展『自然の彩り&アートの世界』が、7月16日(火)~31日(水)、つるまい美術館(市原市鶴舞)にて開…
  8.  子育て中の悩みは尽きないものですが、漠然と考えている悩みでも、種類別にしてみると頭の整理ができて、少し楽になるかもしれません。まずは、悩み…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】第1展示室  人々の暮らしを様々な面で支えている人工衛星。ロケットで打ち上げられた人工衛星は地球の周回軌道に投入さ…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る