恩師と初めての絵本を出版 国際的ヴァイオリニスト・黒沼ユリ子さん

 御宿町・日墨友好文化大使のヴァイオリニスト・黒沼ユリ子さん(81歳・御宿町在住)が、小学校時の図工の恩師であるイラストレーター・大西三朗さん(92歳・東京都在住)と、『ユリ子おばちゃんのおしゃべりえほん ゆびのこと、しってる?』(冨山房インターナショナル)を、今年6月に出版した。70年の歳月を経て師弟共作となった奇跡の絵本は、音楽関連を主に多くの著作がある黒沼さんにとっても初めての試み。「読み聞かせの本ではなく、子どもたちが少しでも早く文字を覚えて、本を読む楽しみを覚えて欲しい」とのコンセプトで生まれたという。そのため、ひらがな・カタカナの文字表が付録についている。

 黒沼さんは、桐朋学園高校在学中に日本音楽コンクール第1位授賞し、18歳でチェコのプラハ音楽アカデミーに留学、首席で卒業。NHK交響楽団、プラハ交響楽団をはじめ、著名な指揮者やオーケストラと世界各地で共演してきた。移住していたメキシコで『アカデミア・ユリコ・クロヌマ』という弦楽器専門の学校を設立、音楽教育にも尽力し、2015年にメキシコから帰国。御宿へ移り住み、駅前通りに『黒沼ユリ子のヴァイオリンの家・日本メキシコ友好の家』をオープンした。メキシコから音楽家を招いたコンサートなどを度々開催、メキシコの民芸品や書籍、900体以上のヴァイオリンを弾く人形などを展示し、メキシコ文化の紹介や人の交流の場として一般公開している(現在はコロナ禍で休館)。2020年11月には御宿町より『御宿町・日墨友好文化大使』に任命され、活動中だ。
 絵本は、ヴァイオリニストとして指使いのプロである黒沼さんが、毎日使う『ゆび』を通して、どんな意味があるのか、世界の異文化のこと、そして戦争と平和まで、やさしい言葉で伝えてくれる。大西さんのイラストは、会話するユリ子おばちゃんとふたりの子どもの温かな表情と交流を描く。たとえば親指は「スペイン語では『ブルガル』って言うの」と外国語を用いたり、「中指は『こころゆび』、真ん中でいつもみんなと仲良し」と示す。人差し指では、「指された人は嫌な気持ちになるから指してはいけないの。ケンカになってしまうよ」と思いやりを語り、それが国同士のケンカとなれば戦争になると話していく。黒沼さんも大西さんも子どもの頃に第二次世界大戦で大変な経験をしている世代。「戦争反対はどうしても伝えたいこと」だったそうだ。
 大人にも「読んで大切な気づきがある」「深い内容で驚いた」と好評の絵本。これからの読書の秋に家族で読んでみては。税込1980円、書店・通販等で注文OK。

 

問合せ:冨山房(ふざんぼう)インターナショナル 
Tel.03・3291・2578

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