先日、畑仕事をしていたら1人の男性に「私は某不動産会社の者ですが、この土地は立地条件も良いので、アパートを建てられたらいかがかなと思い、声をかけさせて頂きました」と話かけられました。少々一方的に話を進められたので、困惑しながら「残念ながらこの土地は借りているもので、自分のものではありません」とお断りしました。

 こういう時、私はつい相手の方に問いかけてしまうことがあります。「人口減少をしているこの国で、あなたは自分の子どもにアパートや新しい道路、商業・娯楽施設などの人工物と、自然や田畑、どちらを残してあげたいですか?」と。もちろん、仕事は生きていくために必要で経済に関わることですから、そうしなければならないのは分かるので、営業行為を否定する気はありません。ですが地球温暖化が急激に進む今、この異常な暑さのために、人間だけでなく多くの生物が自然災害で命を落としています。微力ながら私たち一人ひとりが、今までの行動や習慣を見直さなければならない時ではないでしょうか?

 1960年代、レイチェルカーソンは自著「沈黙の春」の中で約60年も前に地球規模の環境破壊の危険性を主張しました。ですが我々はその進行を止めるどころか加速しながら突き進んでいます。WHOは『地球温暖化』の名称を『地球高温化』に変更しました。今年はこの異常な暑さで、キュウリやナスなど枯れてしまったものがあります。夏に収穫できる野菜が育たなくなっているのです。これ以上気温が高くなれば、すべての生物の生きる環境が過酷になります。それは人類も家畜も農作物も同じです。

 人類を含めすべての生物は、何十億年と命を繋いできました。しかし、我々の世代はたった数10年で、その均衡を破壊してしまっています。私たちが子孫に残さなければならないのは、壊れた地球環境ではなく、豊かな自然と限りある資源ではないでしょうか。

 

◇長谷川良二。長柄町在住。ハーブコーディネーター、ガーデニングコーディネーター、歯科医師。市原を中心に公民館でのハーブの指導などをしながら自然栽培で野菜を育て、養鶏、養蜂にもトライ中。

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