伝統ある土人形『芝原人形展 春の陽の中で』

 長生郡長南町にある長南町郷土資料館では、4月6日(日)まで『芝原人形展 春の陽の中で』が開催されている。『芝原人形』とは、型抜き製法により作られる土を素材とした人形で、その名称は明治時代初頭から昭和40年代初頭まで長南町芝原の田中家で製作されていたことに由来する。
「かつては農閑期の手が空いた時に、ひなまつりに向けて作ったと言われている。人形の中にはあらかじめ粘土鈴玉が入れられているためカラカラと音が鳴るため、石ころ雛とも呼ばれている」と話すのは、同資料館学芸員の風間俊人さん。『芝原人形展』では、窯元である田中家三代と四代目である千葉惣次さんの作品が飾られている他、芝原人形完成までの製作手順が絵を交えて貼ってあったり、田中家の庭に存在した窯と同じ大きさのレプリカ、また千葉県指定文化財になっている芝原人形製作用具まで置かれている。
 ショーケースを眺めながら風間さんは、「ひなまつりに遊ぶ人形とあって女性の姿が多く、現代のひな人形とは一風違って明治、大正と時代を彩る服装や髪型が目立って面白い」と続ける。他に、物語の『金太郎』や『浦島太郎』などもあるが製作者により顔の表情さえ異なり、じっと見入ってしまう。「3月22日(土)には13時、14時から30分ずつ学芸員によるギャラリートークがあるのでいらして下さい」と風間さん。一つひとつが手作りされている、真心こもった芝原人形と初春のひとときを過ごしてみてはいかが。

問合せ 長南町郷土資料館 
TEL 0475・46・1194

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】撮影:関口 武  来月8日から13日、夢ホール(市原市更級)で『小湊鐵道を撮る仲間たち』展が開催される。この写真展…
  2.  市原市椎津の住宅街のなか、車1台分の細い道路沿いにある地域の公園『ららぱーく』。昨年11月、『都市の緑3賞(主催:公益財団法人都市緑化機構…
  3.  5月27日(土)、28日(日)、『白子ライオンズクラブ』主催の『白子ホタル観賞会』が長生郡白子町剃金の第3クリーンセンター公園にて開催され…
  4.  毎年大好評の松山バレエ団いすみ公演が、今年も開催されます。4回目となる今回は、同バレエ団創立75周年記念作品として、新演出を加えた『ジゼル…
  5.  地図やコンパスを使い、エリア内に多数設置されたポイントを多くまわって、点数を競う野外スポーツ・ロゲイニング。これに謎解きとミッション(地域…
  6.  白い花をたくさんつけた小枝が、道路の斜面に見られるころだ。突き出た枝に列のように並んでいたり、房のように咲いていたりする。下向きの花の重み…
  7.  市原を中心とした房総の地域歴史を調査・探求している房総古代道研究会は、令和5年4月、会誌『房総古代道研究(六)』(A4版78ページ)を発刊…
  8. 「人生100年時代、どうやったら幸福な終活の日々を送れるのか。そのひとつとして、ヨーロッパで人気の体験・滞在型農園の菜園版的な、交流できる…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1.  市原市椎津の住宅街のなか、車1台分の細い道路沿いにある地域の公園『ららぱーく』。昨年11月、『都市の緑3賞(主催:公益財団法人都市緑化機構…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る