絵本から学ぶ大切なこと

 1年前から地域に住む若い母親の子育て支援にと、絵本の読み聞かせとお茶とお菓子を提供する『絵本でカフェ』が、毎月2回、大原文化センターの図書室こどもルームでオープンしている。
「子育ての情報が欲しいと思っていても、家にいるだけでは入ってきません。ここに来て絵本の楽しみ方を学び、集まった人とのコミュニケーションから子育てに役立つ情報の交換をしてもらいたいと思っています」と話すのは、主宰者である、いすみ市在住の荘司和嘉子さん(59)。 
 まず一冊の絵本を読み、その後子どもたちが絵本のキャストに扮した寸劇を行う。小さな子どもは親と一緒に参加するが、決して無理強いをさせないのと、親がまず楽しむのが約束事。その後、隣の部屋に移動してお茶とお菓子を楽しむ。ここで出されるお菓子は絵本に関するもので、スタッフらが身近に手に入る材料で作る。
 伺った時の絵本はアメリカの作家、マーシャ・ブラウンの『三びきのやぎのがらがらどん』。その中に出てくるやぎを食べようとする岩のようなゴツゴツした様相の『トロル』をイメージし、板チョコと米菓でできる『ロッシュ・オ・ショコラ』が、この日のお菓子。因みに『ロッシュ』とはフランス語で岩という意味があるそうだ。絵本で見たものがすぐにお菓子になって目の前に出てくるので、子どもたちも楽しそう。また、家に帰っても出されたお菓子を親子で作れるようにとレシピを印刷し、配布している。 
 昨年12月には『ぐりとぐらのおきゃくさま』という絵本の中で、サンタクロースのプレゼントが手作りケーキということで、スポンジケーキと生クリームとイチゴを用意し、参加した子どもが実際に作れるようにした。図書室こどもルームから調理室までには絵本にあるような大きなサンタクロースの足跡までつける念の入れよう。子どもたちが大はしゃぎしたのはいうまでもない。 
 子どもの頃、あまり絵本を読まなかったという母親は「子どものためと思い、絵本を読んでいましたが、実際は自分が楽しんでいます。また内容は奥が深くて、役に立つ情報があると思います。今では絵本は子どものためじゃなく、大人のためにあるとさえ思っています」と話す。 
「絵本の中で、ちょっと残酷なことが描かれる場合もあります。例えば『3びきのこぶた』という絵本は、お母さん豚が兄弟3匹を家から出しますが、その中で狼から身を守れたのは末っ子だけでした。どうして助かったのでしょうか。その理由は末っ子豚に知恵があったからです。このように楽しく読める絵本でも、隠れたテーマは考え深いものがあります」と荘司さん。
 最近は参加する若いお父さんや、外国人の参加もあり、様々な考えに触れるチャンスも増えてきた。子育てを一人で悩まず、まずは子どもを連れて参加して欲しいとの事。参加費は1回800円。

問合せ マザーグースの森(荘司さん)
TEL 090・4540・7152

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