ちばの野菜伝道師が広げる地域の輪

いすみライフスタイル研究所 理事長  高原 和江さん

 いすみ市在住の高原和江さんはシニア野菜ソムリエの資格を生かしながら、現在NPO法人いすみライフスタイル研究所の理事長を務め、地元いすみの活性に尽力する日々を送っている。「この地で生まれ育ったものの、東京へ進学。その後、10年ほどアニメ関連の会社でイベント企画やグッズの販促をしていました。残業や休日出勤に追われる中、ずっと続けていける何かがしたいと思ったんです」と高原さんは振り返る。
 実家は田んぼと畑を持つ農家。地元を離れた友人も多く、盆と正月くらいしか帰省することもなかったが、両親はいつも作った野菜や米をくれた。「畑や果物は身近なもので、元々自然が好きだったんです。そんな時、本屋さんで『野菜ソムリエ』の資格を知り、興味をもちました」。近年は耳にすることも多い『野菜ソムリエ』の名も、高原さんが取得を志した約10年前は全国でも5千人ほどしかおらず、受講方法も多様化していなかった。それでも、野菜の魅力を楽しむ『ジュニア野菜ソムリエコース』から、魅力を第三者に伝えるための『野菜ソムリエコース』、その知識を社会で生かし活躍する『シニア野菜ソムリエコース』の3ステップを踏み、2014年5月に千葉県から唯一『ちばの野菜伝道師』を任命された。
 資格取得当初は日本野菜ソムリエ協会で前職の経験を生かし都内でイベントの企画を担当していた。「農業体験のできる農家を直接探したり、キュウリだけを食べ比べする講座などを企画運営し、学びも多く楽しかった」というが、活動拠点の都心には料理研究家や有資格者は数多いる。しかし、両親の住むいすみ市の田畑を守っていくのは自分と妹しかいないことに気付いた。ふるさとの田園風景を残すためには、そして町を活性化させるためにはどうしたらいいのだろうか。
 湧きあがる思いを止めることはできなかった。「当時のいすみ市役所には町の振興に関わると思える部署が2つあって、両方にメールをしてみた」という高原さんの元へ担当者から連絡が届いたことをきっかけに、現在理事長を務めるいすみライフスタイル研究所のメンバーに。『他地域からの移住・定住』、『地元の情報発信』をメインに活動している。
 大学の進学を機にいすみ市を離れる若者は少なくないが、転入者も毎年千人ほど。山や川、森と海など多様性をもった地域に惹かれ、吸い寄せられてくる人々は多い。また同研究所は会員制をとっているが、いすみ市への愛情と共感を持っているからこそ熱い思いを持っている人も。「この春、茨城県に転勤になってしまったが、気になるお店を取材したいと大学の時の経験を生かし、ホームページ掲載の記事を書いてくれている」という男性会員など、同研究所の特徴の1つ『若い人や女性が多い』ことは周囲に驚かれることがあるという。
 他にも、建築や水道、看板や鍵屋さんなど同研究所のメンバーの特技が多岐に渡ることも特徴だ。「空き店舗の活用などはメンバー内で協力しています。また、市の方々とのつながりでほとんどのことができます。私が初めに地元に帰って来たのは実家の田畑が心配だったからですが、問題は農業だけではないと気付きました。漁業や商業、すべてが人口減少で動かなくなるんですよね」と話す。
 色んな人に輪を広げて欲しいと願い、『常に丁寧に人の話を聞くこと』を心がける。高原さんの声で今年2月にオープンした『長者マート(いすみ市長者176)』では、地元の作家が自作の作品を販売している。現在は雑貨や飲食の販売を行っているが、今後は野菜も追加される予定で、地域交流の場を目指して5月中旬にグランドオープンが決定している。
 そして、「世代や考え方によって意見が異なることもあります。ただ、先輩方が頑張ってくれたから、今のいすみ市がある」と地元に敬意を表し、「これからも仲間と地域の皆さんと町を大切に活動していきます。両親とも長者マートに花を飾ったり、野菜売り場の相談を受けたりと新たな話題に楽しみも増えています」と続け、嬉しそうにほほ笑んだ。同研究所は現在会員募集中。詳細は問合せを。

問合せ NPO法人 いすみライフスタイル研究所
TEL 0470・62・6730
http://www.isumi-style.com

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