東金地域ゆかりの日本画家『酒井亜人展』開催【鴨川市】

 鴨川市にある私設房総郷土美術館では、6月5日(日)まで『房総が生んだモダニズムの日本画家・酒井亜人展』を開催している。美術館館主の黒川さんは、「亜人の絵は風景が主ですが、シンプルに単純化していて面白い。亜人が作品を発表していた昭和20年代当時、『油絵を思わせ、日本画の異色』と言われていました。私は30年くらい前に作品を知りましたが、無駄を省いた、素朴であたたかい絵だと思います」と話す。  亜人は明治37年、大網の表具師の家に生まれている。独学で日本画の道に入り、昭和12年の再興第24回院展に『冬』で初入選。その後約10年は日の目を見なかったが、戦後の昭和24年に再び院展に入選し、著しく活躍する。25年・26年は奨励賞(白寿賞)、27年の第37回院展では『晩秋』で片岡球子とともに日本美術院賞(大観賞)。翌年には院展無鑑査となり、29年・30年で再度連続の奨励賞(白寿賞)。しかし、その後はまた表舞台から姿を消し、昭和40年1月、享年60歳で没した。

『早春』47×56㎝ 1950年代

 今回、郷土美術館で展示するのは、亜人の生涯にわたった各年代の作品。院展入選作のような大作ではなく、ふだんあまり見られない『愛すべき小品』38点だという。「亜人は東金の風景もよく描いていました。展示会開催に当たり、亜人の遺族が住んでいた東金・大網地域に手紙を出したのですが、どれも戻ってきてしまいました。亡くなってからすでに半世紀を過ぎ、現在はあまりその名も知られていません。縁のある人たちに展示会の情報が届いて欲しいですし、こうした画家がいたことも知っていただきたいです」と黒川さんは話した。

 

●酒井亜人展 6/5(日)までの(金)(土)(日)開館 10〜16時
 私設房総郷土美術館 鴨川市四方木410の5 一般300円、高校生以下無料
 Tel.04・7094・0333

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1.  キセキレイは、よく街中で見かけるハクセキレイの仲間ですが、個体数が少なくなっていることや、渓流や川原などの水辺を好んで生息しているため、ハ…
  2. 【写真】神明さん(左)と宗形さん  丸みのある可愛いフォルムから奏でられる心地よい音。それこそ、オカリナの最大の特徴である…
  3.  今年の夏休みのこと。学童保育のイベントで夏祭りを企画し、子どもたちは、紙で作ったお金で出店屋さんで買い物をしました。一人5百円をどう使うか…
  4.  9月の終わり頃にチャドクガの幼虫(毛虫)の毛に触れてしまったようです。チャドクガは蛾の一種で毛先に強力な毒を含んでおり、お茶の木、サザンカ…
  5.  私の生まれ育った芦別は北海道のほぼ中央に位置し、四季折々の美しい自然と星空に恵まれた町です。  昭和59年に「星の降る里」を宣言し、昭和…
  6.  きつね色にこんがり揚がった生地と香り高いカレーの取り合わせが人気のカレーパン。市原市五井西の『クロワッサンファクトリー五井店』の『じっくり…
  7. 【写真】「陰陽師と式神・外道」復元模型 国立歴史民俗博物館蔵  佐倉市の国立歴史民俗博物館にて、企画展示『陰陽師とは何者か…
  8.  市原市在住の俳人である大関博美さんは、俳句結社「春燈(しゅんとう)」と俳人協会の会員であり、今年7月『極限状況を刻む俳句 ソ連抑留者・満州…
  9.  今年は黒澤明監督生誕100年記念。前回に続き、48年前に行った『黒澤明監督5作品48時間フエスティバル』について、上映作品を時系列に紹介し…
  10. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】神明さん(左)と宗形さん  丸みのある可愛いフォルムから奏でられる心地よい音。それこそ、オカリナの最大の特徴である…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る