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日当たりの良い湿地を好むサワヒヨドリ

 大きな住宅地を通りぬける途中、信号で止まったところの空地に時期遅れのサワヒヨドリが咲き誇っていた。地面は水がしみ出るほどではないが湿り気があり、夜露が残っている感じだ。そこには造成される前の里山の光景がまだ残っていた。
 サワヒヨドリ(沢鵯)は腰ぐらいの高さで、同じフジバカマ属のフジバカマやヒヨドリバナの半分ぐらいである。茎の上部では毛が密生し、淡紫色の頭花を散房状につける。一つの頭花は数個の筒状花が集まったもので、白い糸のようなものは花柱が2裂したもの。葉は無柄で対性、幅2センチぐらいの披針形、ときに3深裂する。
 この場所では黄色が鮮やかなセイタカアワダチソウと、やはり時期遅れのススキが一緒に咲いていた。今の時期なら背丈を超える高さで咲き誇るセイタカアワダチソウも腰の高さぐらいだ。たぶん夏ごろに一度刈られてその後また芽吹いたものと思われる。草刈りが行われなければ、サワヒヨドリは9月ごろ咲くだろう。しかし、胸の高さほどに伸びたセイタカアワダチソウに埋もれて気付かれないだろう。あるいは、陽射しが届かず芽吹かないかもしれない。里山の自然は適度な草刈りで多様性が保たれるから。
 その後、この場所は土を踏み固めるような大きな土地改良が行われていた。新しい工法のようだ。ジメジメが解消されたら分譲されるのだろう。もし、庭の片隅でいつの間にか咲いているサワヒヨドリに気付いた時、きれいだなと喜んでばかりはいられない。サワヒヨドリが育つ環境は、日当たりの良い湿地だから、床下のジメジメを指標する野草の一つでもあるのだ。

ナチュラリストネット/野坂伸一郎

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