山河の怪物、魑魅魍魎(ちみもうりょう)と妖怪たちが練り歩く『百鬼夜行』を堪能する

 巷で小学生を中心に爆発的な人気を誇る『妖怪ウォッチ』。その人気の理由のひとつに、まず挙げられているのは、キャラクターが日本人に馴染みの深い妖怪だから。
 では、いつの頃から、妖怪は日本人に親しまれるようになったのだろうか?江戸時代には妖怪たちに名前がつけられていたことが現存する絵巻からわかっている。その後、高価な絵巻と違い手頃な『草紙』が世の中に出回り、人の本質をそのまま妖怪にしたようなキャラクターが大衆に受けてブームになったという。
 今回は子どもから大人まで楽しめる妖怪(もののけ)企画、『山の怪・海の怪 ふしぎものがたりともののけのせかい』を9月23日(祝)まで開催している袖ケ浦市郷土博物館を紹介。会場は、『もののけ大集合』、『山の怪・海の怪』、『もののけあーと』と3つのテーマで構成されている。
 まずは、まだ妖怪に名前がつけられておらず、不思議な出来事や怪異、歴史の中で公にしにくい出来事などに形を与えて、つくりだした化け物から、妖怪の名前も書かれた妖怪絵巻や、草紙などが展示されたコーナーへ。百鬼夜行とは、本来、鬼たちが夜中に出没する事柄をさしていた。それが、中世に入ると百年以上使われた物には魂が宿り、妖怪『付喪神(つくもがみ)』になると考えられ、鬼や付喪神になった器物の妖怪たちが行列する様子が『百鬼夜行絵巻』に描かれるようになっていく。
 赤鬼が唐櫃(からびつ)を壊し、中から隠れていた妖怪たちが逃げ出す姿を描いた百鬼夜行絵巻や、実在の人物の名前が妖怪の名前の横に書かれた『妖怪絵巻』、後鳥羽上皇が妖怪の夢をみて、その後、病が治ったので、お守りに持つようにと描かせた『妖怪図』等々を展示している。
 次のコーナーは、天狗と鬼、鵺(ぬえ)、大蛇、悪魚(あくぎょ)等にまつわる展示。夜の鳥と書き「ぬえ」と読む。鵺は猿の顔、狸の胴体、虎の手足、蛇の尾をもつと伝えられている。袖ケ浦市にある飽富(あきとみ)神社に奉納された鵺退治の絵馬や、君津市にある怒田(ぬだ)大日堂に祀られている大蛇伝説の蛇骨。天狗についていった子どもから聞き書きして天狗界を描いたという掛け軸や、悪戯をしたため祈祷してやっつけられた天狗が書いたとされる、未だに解読できていないという文字が連なる詫び証文、小櫃(おびつ)川の淵に住む怪魚の伝説を書いた『熊野神社縁起』や君津市に伝わる先住の権力者、阿久留王(あくるおう)が日本武尊(やまとたけるのみこと)により討伐されたという伝説なども紹介している。会場では、鵺の鳴き声とされたトラツグミの鳴き声を流して雰囲気を盛り上げている。
 室町時代から図像化された、もののけは江戸時代の浮世絵や絵巻物から現在に至るまで繰り返し描かれてきた。最後のコーナーでは、室町時代から昭和の時代まで描かれた妖怪たちが大集合。キャンバスの中に所狭しと妖怪が描き込まれた、山河すべての怪、魑魅魍魎シリーズの絵画や、玩具絵などが展示されている。会場の外に出ると壁面に、全国の鬼の祭りの写真が展示され、更に階段を下り角を曲がり正面にある鏡には、もののけフレームが。
「妖怪画ほど意表をつく表現は少ない。表情も豊か。付喪神は物が魂をもった時、どんな形になるか?器物と怪物が一体感をもつ」とは、ある美術史評論家の言葉。おどろおどろしいものばかりではない。どこかユーモラスな妖怪たちもたくさんいる。各地の博物館や大学図書館、個人蔵等から集められた約80点の見応えある展示。是非、この機会にご覧になってみては。

問合せ 袖ケ浦市郷土博物館
入館無料
開館時間9~17時
 月曜休館 ※9月21日は開館
TEL 0438・63・0811

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