国府推定地の謎を伝える 柳盾神事

 国分寺跡や上総国府推定地など市原市の史跡を案内するボランティア団体『かずさのくに国府探検会』が『柳盾神事』特別ツアーを開催した。9月26日、市原地区から出発する柳盾神事に同行したのは同会会員を含む26名。はじめに市原市青少年会館で「千葉県無形民俗文化財に指定され、飯香岡八幡宮の秋季例大祭に欠かせない神事」、「文献上は足利義満が飯香岡八幡宮に神輿を寄贈したとされる時代に遡る。伝承話などから起源は千年以上前ともいわれる」など同会事務局長の山本勝彦さんの説明を聞いた。柳盾は神輿の原型または神霊の宿る依り代と考えられ、市原地区にある2軒の司家が1年交代で25本の柳、5本の竹と藁で作るという。
 一行は徒歩で飯香岡八幡宮を見学し、八幡宿駅西口で山倉子どもの国行バスに乗車。市原坂下で下車し、光善寺薬師堂へ向かった。柳盾を祭り、氏子や町会関係者に出振舞いがふるまわれていたのは光善寺本堂。八幡はやし保存会によるお囃子や獅子舞いが披露されたあと、錫杖をもった先触れの「お立ち」という声が響いた。柳盾を担いだ白装束の男性の前後を守るように裃を着た司家の山越均さんと森利夫さんが並んで出発。「お成り」の声をあげる行列とともに柳盾神事保存会や地元住民、歴史愛好家らが続く。貴重な行事を記録しようとカメラマンや考古学者も前後を行き交った。県道297号線に出て、まず飯香岡八幡宮の元宮といわれる市原八幡宮を参拝。再び県道をもどり、地元住民が四辻と呼ぶ角から大多喜へ続く古道を横切り、旅の安全を祈願する阿須波神社へ向かう。神社参拝後、ツアーは解散となったが、多くの参加者は行列を追った。
 神社脇から市原台地を下り、館山道下のトンネルを経て、刈り入れの終わった田んぼ道に入る。山越さんは「江戸時代に司家は帯刀して歩くことを許された」など由来を語りながら進む。森さんは「昔は飯香岡八幡宮の鎮守の森が見え、海の方にまっすぐに道が伸びていた」と懐かしんだ。現在の道とは少しずれているが、昭和30年代の水田の圃場整備以前にあった、地元住民が中道と呼んだ神事のルートのことだ。重なるように、五所四反田遺跡と市原条里制遺跡の発掘調査で幅6メートルの古代道跡も発見されている。海岸沿いの古代東海道駅路へと続くらしい。同探検会会長の前田房穂さんは「神事の意味ははっきりしない。しかし、市原八幡宮が担った総社の役割が何かの理由で飯香岡八幡宮に移ったのでは」と推測する。総社の近くには国府が存在する可能性が高いそうだ。
 地区の境で正装した五所の氏子らの出迎えを受け、紙垂やお飾りを掲げた家の間を通り、五所町民会館に到着した。見学はここで終了。引き渡し式のあと、柳盾はひと晩安置される。翌日、五所から八幡地区を経て、飯香岡八幡宮に奉納後、柳盾を先頭に神輿が出ると祭りはクライマックスとなる。
 今回のツアーについて現地を案内した、いちはら里づくりの会の会長山越国臣さんは「住民が代々受け継いできたものがようやく注目されはじめた。阿須波神社と飯香岡八幡宮はJR東日本の『駅からハイキング』(11月1日から15日)のルートにもなった」と喜んでいた。なお、同探検会は2020年の更級日記千年紀に合わせ、市原市での国府サミット開催を目指している。詳しくは「かずさのくに国府探検会」でHPを検索!

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