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季節のスケッチ
- 2016/1/22
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俳画と文 松下佳紀
スーパーで鯛焼を売っていたので懐かしく思い買った。冷めていたので電子レンジでチンした。その温かさと餡の甘さは渋茶に良く合った。今から五十年以上も昔だが、下町の小店で買ったそれは新聞紙で包んで渡された。私はその温もりを抱くように家路を急いだことを思い出す▼鯛焼の誕生は明治時代とか。今では各地に専門店があり、中味はチョコレートやクリーム、さらに総菜まであるそうだ▼鯛焼にこれほど人気があるのは日本人好みの目出度い鯛の形にありそうだ。それに加え、さほど値も張らず、老いも若きも気軽に食せるからだ。この庶民的な菓子は末永く伝承されるであろうが、中味は何が好きかと問われたら、私は迷わず餡と答えるだろう。
●松下佳紀
昭和15年市川市生。東洋美術夜間グラフィックデザイン科卒。昭和39年新宿画廊で第1回個展。6カ月間の自転車日本1周スケッチ旅行の後、各地で個展、2人展、グループ展などを開催。イラストレーション、子どもの絵本、オリジナル俳画、陶芸などを手がける画家。