荒れ地に強いアキノノゲシ

 毎日同じ道を歩き、道端や草地に咲くアキノノゲシに気付けばもう秋の始まり。日増しに増える花が腰から胸ぐらいの高さになれば秋真っ盛り。道端に咲く野草の中でも大きい方なのでよく目立つ。花が開くのは日中だけで、夜間や雨の日はつぼんだままになる。始めに咲いた花がタンポポの綿毛を小さくしたような冠毛のついた種子に変わりはじめ、綿毛ばかりになると秋はもう終わり。秋の始まりから終わりまで楽しませる野草だ。
 アキノノゲシ(秋の野罌粟)はキク科アキノノゲシ属の1?2年草。大きさ2センチぐらいの花は円錐状の頭花で淡黄色。中には白色に近いものや淡紫色のものもあるらしい。葉は互生で長さ10?30センチ。下部の葉は大きく羽状に裂ける。上部にいくにつれ、切れ込みは小さく、全縁になる。
 アキノノゲシの名の由来は、春に咲くキク科ノゲシ属ノゲシに対してという。春に咲く○○と似たものが秋に咲いて、アキノ○○と名付けられたものが数種類ある。間違えるほど似ているとは思えないが、○○の別名にハルノ○○とつけて分けられるものもある。ノゲシもそうだ。
 ノゲシ(野罌粟)の名は、ケシ科ケシ属のケシに葉が似ているからだという。ケシ(罌粟)の名は、実が罌(かめ)に、種が粟(あわ)に似ているからだという。名は体を表すというが、由来に基づくものを知らねば、同種と間違えられる大雑把な名づけ方だ。アキノノゲシからケシの花を想像するのは難しい。が、レタスやサラダ菜もアキノノゲシ属なのでよく似た花が咲くそうだ。家庭菜園などで見たことがある方はうんうんと肯けるかと思う。
 荒地に強いアキノノゲシはどこへ行っても見られる。市原の自然は豊かで素晴らしい。いつまでも大切に残したい。

(ナチュラリストネット/野坂伸一郎)

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1.  市原市姉崎小学校を拠点に活動している剣道『錬心舘市原道場』。設立は1987年と長い歴史を持ち、小中学生を中心にこれまで数多くの卒業生を育て…
  2. 【写真】本須賀海岸(当写真は特別な許可を得て撮影しています)  マリンアクティビティのイメージが強い九十九里エリア。成田国…
  3.  マザー牧場(富津市)では、2~3月が羊の出産シーズン。今年は約20頭が出産。第1号は2月22日に生まれた品種「サファーク」の女の子。黒い顔…
  4.  鉄道写真愛好家の皆さんへお知らせです。今年6月6日(木)~6月11日(火)に開催予定の『小湊鐵道を撮る仲間たち展』に写真を出展いただける方…
  5.  新芽が出始めた春の里山を散策してみた。葉の色や形、大きさなど種類の多さが感じられる。葉の多様性といったところか。  そんな中で高い木の枝…
  6. 【写真】チバニアンガイドの皆さん  2020年1月、市原市田淵の地磁気逆転層を含む地層『千葉セクション』がGSSP(地質年…
  7.  前回、近い将来起こるであろう世界的な食糧問題について書きましたが、多くの学者は、私達が生き延びるには人間が何万年と育んできた古来からの農法…
  8. 【写真】『音楽堂in市原《私の十八番》ガラコンサート』にて。ヴァィオリン・川井郁子さん、ピアノ・熊本マリさん  市原市市制…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1.  市原市姉崎小学校を拠点に活動している剣道『錬心舘市原道場』。設立は1987年と長い歴史を持ち、小中学生を中心にこれまで数多くの卒業生を育て…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る