季節のスケッチ

俳画と文 松下佳紀

ある団体旅行でのこと。宿にバスが到着後、日暮れまでに間があるので私は散歩をしたくなった。あいにく雨が降っているので誰も外へ出ない。私は宿の傘を借り、迷わない範囲を歩いた。谷川の瀬音が響く山深い土地だ。程なく小学校があり、校門の脇に今では珍しい二宮金次郎の石像があるのを発見した▼薪を背負い、歩きながら本を読むその像は、勤勉努力の象徴として、私の子供の頃はどこの小学校にも立っていたものだ。二宮金次郎(尊徳)は江戸後期の農政家、経政家。自ら陰徳、積善、節倹を励行した思想家として著名だ▼今では希少となった尊徳像。私ははるばる来た異郷に佇み、傘を打つ雨音を耳にしながら、しばし懐旧の思いに浸った。

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