いつか全国に誇る「市原花火大会」を! 五井の秋空に3000発の夢花火 いちはら国府花火大会実行委員会【市原市】

 思っていたのと違う! そんな花火大会だった。昨年10月5日・6日に更級公園で開催された上総いちはら国府祭りには、市内外から大勢の人が訪れた。祭りのフィナーレを飾る花火が2年ぶり(一昨年は台風で中止)に打ち上げられたが、従来より大幅にスケールアップしていて、訪れた人たちをよりいっそう楽しませた。

『共演』も『シンプル』も楽しめる3部構成

 今回の花火は、国府祭りと共催の『いちはら国府花火大会』として、3部構成で打ち上げられた。実行委員会に話を伺うと「1部は約3分41秒で、光と音楽との共演。2部はシンプルに花火のみ。3部は約4分4秒で再び光と音楽との共演というプログラムで、各部の間に約1分の合間を入れてトータル15分に仕上げました。細かい秒数は曲の長さです。このように曲と花火を合わせるのは、実はとても複雑で費用もかかり、花火師泣かせの技なんです」と話す。
 光(サーチライト)と音楽を合わせた1部が終了すると、「これで終わりかな」という声が周りから聞こえ、立ち上がって帰ろうとした人もいた。その時、まだまだこれからだと言わんばかりに、今度は花火だけをシンプルに味わえる2部が始まる。そして数分後、再びの合間。「今度こそ終わり?」「いや、さっきみたいに、まだあるかも?」 そんな観客の期待に応えるかのように3部が始まる。
 同花火大会の花火師は、実行委員会の立ち上げ時から関わっている男性。近隣地区の花火大会が様々な事情で中止になるものも出てくる昨今、共に花火職人として、高滝湖の花火大会にも永年かかわってきた父の遺言が「市原の花火だけは、存続させてくれ」だった。亡き父の思いも自分の思いも胸に、3000発の花火を打ち上げ続ける。いよいよ最後の花火が上がり皆が見上げる。歓声と拍手の中、花火が消えていく……その余韻の中、花火師が涙目になっていたことを実行委員の一人が教えてくれた。

計画遂行の事例を学ぶ他地区への研修も

「花火大会の構想は、およそ4年前、3名の有志が集まってスタートしました。当初は市原の母なる川、養老川の下流域河川敷などを会場に考えましたが、なかなか調整が進まず紆余曲折しながらも、国府祭りでの共催という形で実現できました」と実行委員の一人。煙火責任者、選曲、広報を担当し、「広報については自称です。勝手連的にやらせていただいています」と微笑む。選曲にも思い入れがあるそうで、「曲は前年に準備したものですが、残念ながら中止となってしまいましたので、そのまま使わせていただきました。1部の曲はゆったりした前奏から始まり激しくフィナーレへと続きます。歌詞の内容も合っているので選曲しました。3部の曲は国府祭りの最終最後、余韻を楽しむよう、まさに『さよならを言う時間』に相応しいものを選びました。どちらも自分が大好きな曲です。次回は会場の子どもたちが踊ってくれたらいいなと思い、皆に馴染みの深い曲を考えています」と熱心だ。
 一方、財政面から一時中止になり、住民の声で復活した富津市民花火大会への研修も行なったそうだ。花火大会後3人で現地に赴き、担当者から話を聞き計画遂行の事例を学ばせてもらったという。そんな熱意が周りに伝わり4人目の有志が加わると、その後実行委員の数は増え続け、現在約40名が参加している。「実行委員の多くは会社役員や自営業の社長さんたちですが、今後は町会や各団体、有志の方など、より多くの皆さんと協働しながら開催できることを願っています」とのこと。

子どもたちに誇れる『ふるさと市原』のために

 市街地の中央公園での開催ならではの苦労を尋ねると「花火大会で重要なことは、保安距離の確保です。狭い場所では保安距離が取れず、大きな玉を打ち上げることができません。ご承知の通り大きな玉は大きな花を咲かせますが、今回はそんな保安距離の問題から、最大2号玉までという制約がありました。一般的な花火大会であがる尺玉は通常10号玉で、開花時の半径は約160メートル。3号玉では30メートルとなり、ピンポン球大の2号玉ではさらに小さくなります。ですが、安全対策を最優先事項として、その条件下で『15分間で3000発打ち上げる』という他にはあまり無い花火大会に仕上げました」との返答。
 今後の抱負については「子どもたちの笑顔が心に残っています。あの会場にいる市民全員が心一つに楽しんでくれることが1番です。将来的には養老川河川敷に場所を移し、『市原市が日本に誇れる位の花火大会』を夢見ています。腹に響き、心に響く夜空の華。そんな花火は私たちに活力を与えてくれます。多くの市民が楽しみ、それが将来の活力となって、住んでいて良かったと思える市原市になれば……。市民がもっと元気になり、市原市がもっと活性化するように。そして子どもたちに誇れる『ふるさと市原』を!との願いを花火に込めています。多くの市民の皆さまのご協力をお願いいたします」と熱く語った。
 更級公園の秋の夜空に咲いた3000発の夢花火。その動画(一部)が、いちはら国府花火大会Facebook、市原市ホームページ、いちはら市民特派員Facebookで公開されている。
問合せ:いちはら国府花火大会Facebook

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