長南町は僕らの遊園地

『オールドローズガーデン』1日だけ開園
協働交流サロン

 6月1日、長南町の町づくりボランティア団体『協働交流サロン』が企画イベント『自然の散歩道オールドローズガーデン』を開催した。「四季折々に美しい町の田園風景が似合うバラ園にしたかった」と話すのは同サロンメンバーでバラ園『ばら野をかロサ・ウェール』(長南町蔵持4241)を営む佐久間春江さん。昭和初期のイメージを出すため、あえて園名に『を』を使用した。
 なだらかな高低差のある約500坪の敷地に一季咲きの種が多いスピーシーズ(原種)、原種同志を交配や改良したオールドローズ、歴史的価値のあるヘリテージローズが花を咲かせる。春一番に開花し桜のようにはかなく散る中国産の原種や日本古来の野バラに代表される素朴な花が中心。庭は種類別のエリアに沿ってゆるやかなカーブの小道が走り、ところどころにある東屋にはガーデンチェアが置かれている。足元もハーブ類など「自己主張をしない草花を植えた」という。清楚な花木を引き立てるのは遠景の里山や田んぼだ。
 入り口近くのテントでは小学生の男の子を連れた女性たちが切り株の椅子に腰をかけ休み、園内では満開のツルバラのパーゴラの下でおしゃべりを楽しむ人たちがゆったりとした時間を過ごしている。佐久間さんがバラ園を作りはじめたのは12年前。トラックで田んぼに土を入れた以外はガーデンスクリーンやパーゴラも手作り。有機肥料を施し、害虫を手で取る減農薬でコツコツと育ててきた。普段の一般公開はしておらず、同サロンの後押しで年に1度だけの開園日を設けた。
 メンバーが手伝ったのはバラの砂糖漬けを使ったパフェ、飲み物や花の苗の販売、ポーセラーツや写真の体験教室の開催。バラ園のある長南町蔵持について知ってもらいたいと地名の由来、伝承の残る柳や地元の人しか行かない小渓谷などを記した『蔵持マップ』も配った。町の観光名所といえば笠森観音堂、スカイツリーの見える野見金公園、吉ゾウくんのいる長福寿寺、環境省の名水百選に選ばれた熊野の清水公園など。
 ところが町を愛するメンバーたちは「名所はそれだけではない」と地元住民だけが知る隠れスポットを紹介する町全体の散策地図を作るプロジェクトも立ち上げた。イベント開催のたびに来場者にお気に入りの場所を教えてもらい完成させる予定だという。すでに大きな白地図には湧水やホタルの里、国の登録文化財『いせや星野薬局』、平成24年オープンの『大谷家具製作所』、昔ながらの個人商店『加納豆腐店』や『安田ストア』ほかメンバーお薦めの場所が記入してある。
 神奈川県から移住して20年経つ同サロン代表の池田満里子さんは「地元の方と交流したい」と町が募集する会合に出席してきた。佐久間さんと出会ったのは町の行政と住民が協力し町を活性化する『協働に関する基本指針』の会議でのこと。指針をきっかけに平成24年に『なんも無い…!!はずないだろう、長南町!』と称し、有志と同サロンの活動をはじめた。
 町の花『紅花』の染め物展や本屋のない町での絵本展など、「だめでもともと、何かしなければ」と自分たちで企画したイベントは2年半で13回。旧郵便局を改装しギャラリー『プロジェクト長南』の運営をはじめると、自分の家の倉庫や蔵も使って欲しいという申し出が数件寄せられた。イベントに足を運んでくれる町役場の職員もボランティアの熱意に応え、「今では半分職員扱い」してくれようになった。
 町外から嫁いで10年経つ川野さんは「老若男女が真剣に楽しんでいる団体。変えた方がいいことは変えていいと背中を押された」と話す。「地元住民が何もないという町がぼくらにとっては楽しい遊園地のような空間。自分たちの暮らし方や自然の豊かさに誇りを持って欲しい」と東京から移住した男性は町民にエールを送る。
 地元出身者を含む17人のメンバーは「住民同士のつながりを強めたい」、「地元の文化、歴史、アーティストの発掘をしたい」、「無農薬米を作る農家を紹介したい」、「イベントの入場料や作品販売で利益を出し活動資金を作り、町の福祉に貢献したい」などなど挑戦したいことがまだたくさんあるそうだ。

問合せ 協働交流サロン
Eメール chonan.kyoudou@gmail.com

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