全国のウミガメ好き大集合

 絶滅危惧種に指定されているアカウミガメ。太平洋に面した外房は産卵地の北限域にあたり、毎年6月から8月にかけて母ガメが産卵のため砂浜に上陸する。
 11月27日から3日間、『第26回日本ウミガメ会議』(日本ウミガメ協議会主催)が一宮町で開かれた。沖縄、九州、四国など全国から会議に出席した研究者や学生、環境保護団体や個人に加え、イベントに来た人を数えると参加者は1200人以上。関東では初めての開催となった。
 平成26年にウミガメ保護条例を制定した一宮町。会議1日目に行われたのは洋上や砂浜での観察会など。メイン会場となったホテルシーサイドオーツカでは、一宮在住の海洋生物学者の秋山章男さん(80)の記念講演『南九十九里一宮・渚の自然を探って40年』があった。一宮海岸は北側の一宮川河口に干潟、南の太東岬沖に海の里山ともいえる岩礁群を抱える。海にはイルカの仲間スナメリが泳ぎ、湿地や海岸には渡り鳥のミユビシギや希少種のコアジサシが飛来する。秋山さんは「一宮の砂は砂鉄を多く含み黒い。太陽光を吸収しやすいのでウミガメの産卵に適する」、「砂中の平均温度が28度以上だとメスが生まれる。一宮の子ガメはメスが多いはず」と豊かな生物多様性を育む南九十九里を紹介した。
 2日目以降は研究者や保護団体の研究発表。「孵化した子ガメが周囲を見回す様子にワクワクする」と話す、一宮中学校1年生3人も最年少で発表した。「産卵に来る母ガメに会いたい」と小学1年生から月の満ち欠けや砂粒の大きさとカメの関係などを研究してきたそうだ。そのほか会議に合わせて、専門家による小中学校での授業、絵画展なども開かれた。
 外房にはウミガメを祀った石造物や伝説が古くから残る。今でもカメが網にかかると漁師は神の使いとしてお酒をふるまい海に帰すという。しかし、会議を招致した『一宮ウミガメを見守る会』の代表渡部明美さんは「千葉県にウミガメが来ること知る人は少ない。多くの人に関心をもってもらい、豊かな自然を守りたい」と話す。
 母ガメは上陸しても騒音や護岸壁によって、産卵しないで海に戻ることもある。また、孵化した子ガメは明るさを頼りに海に出るので、街の光害も課題だ。同会ではホテルの協力で宿泊客に窓のカーテンを閉めるようお願いしている。来年から街灯を赤色灯に替える取り組みもする。カメにGPSを取り付け、追跡調査もはじめた。平成20年には『外房ウミガメ懇話会』ができ、外房のウミガメに関わる団体や個人も手をつないだ。
 ウミガメの生態はまだ謎が多い。一宮海岸のアカウミガメ上陸は30回を超えた年もある。ところが今年の上陸は10回、産卵は7回。全国各地でも上陸は少なかった。気候や人工物による砂浜の減少なども影響するらしいが原因は不明だ。

問合せ 渡部さん
TEL 090・1807・7139

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