先月、冬休みを利用してガーデニングを学びにイングランドへ旅行してきました。日も短い、何もない冬のガーデン。殆ど花が咲かない冬の間、イングランドの人々はどの様にガーデニングを楽しんでいるんだろうか? メンテナンスはどの様にしているのだろうか?庭をどの様に綺麗に見せているんだろうか?そんな思いを胸に抱きながら、ロンドンから電車で1時間程の小さな村に住む、日本でも活躍したことのあるガーデナーの友人夫婦の家に滞在し、幾つかのガーデンに連れて行って貰いました。
 寒い冬のイングランドの田舎の生活は、静寂の中に包まれています。家の中で暖炉に火を焚べ、温かいお茶を飲みながらお喋りを楽しみます。火の燃える音と匂いと共に、まるで時間が止まった様にさえ感じます。訪れた家の一つは、もうかなり以前に引退した元外科医のご老人の庭、45年もの間、その広大な庭を殆ど一人で作り上げて来ました。「これは秋に植えたクリスマスローズ、これは夏に植えた沈丁花の若木だよ」と、一つひとつを丁寧に、まるで自分の子供を扱う様に説明してくれます。彼は気の遠くなる様な時間をかけ、ガーデンを作り上げて今何を感じているのだろう?自分は、人生の終盤にかかった時、彼の様に新しい若木を植えようとするだろうか? この老人の目にはガーデニングを通して一体どの様な事が見えているのだろうか?「もう少ししたら植えたクリスマスローズが咲き始めるよ」暖炉の前で微笑む彼の語り口はとても静かで優しく、生命感に満ち溢れています。
 「一体どの様に冬の庭を綺麗に見せるのか?」という気持ちで行ったイングランドですが、見出した答えは別で、単に「待つ事」。慌てずに時間をかけてゆっくりと。長い冬が終わったならば、やがては春が来て花が咲き、夏や秋には沢山の実が付きます。寒い冬は必ず終わるのですから。

長谷川良二。市原市在住。ハーブコーディネーター、ガーデニングコーディネーター、歯科医師。公民館でのハーブの指導や、料理教室を開催しながら自然栽培で野菜を育て、養鶏、養蜂にもトライ中。

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