発掘された零戦の部品を初公開 企画展『太平洋戦争』 ~睦沢町立歴史民俗資料館~【睦沢町】

今年2021年は太平洋戦争開戦から80年。真珠湾攻撃を報じる1942年1月1日付の新聞からは、当時の戦勝ムードに沸く様子が生々しく伝わってくる。睦沢町立歴史民俗資料館では、企画展『太平洋戦争』を9月26日(日)まで開催。同館が20数年にわたり収集してきた戦争資料を紹介し、太平洋戦争を振り返る。

 今回初公開となったのは、今年1月に大多喜町で発見された零戦の機銃やエンジンなどの部品。同機は1945年8月15日の終戦の日に茂原海軍航空基地を飛び立ち、連合国軍機と交戦し墜落したとみられている。有志の調査団が遺族の依頼を受け、6年の歳月をかけ墜落場所を突き止めた。75年以上地中に埋もれていた部品は保存状態がよく、一部塗装も残っており貴重な資料として注目される。展示では約1・8mの長さの20㎜機銃をはじめ、エンジンのピストンやシリンダー、墜落の衝撃で破裂した薬きょう、軽量化のため薄く作られた操縦席側面の外板破片など多数を陳列、詳しく解説している。発掘当日の様子も写真と文で知ることができる。

真珠湾攻撃を報じる1942年1月1日付の朝日新聞
(睦沢町立歴史民俗資料館提供)

 併せて、大多喜町の墜落機に搭乗していた可能性のある杉山光平上飛曹と増岡寅雄一飛曹、また睦沢町で戦没地が確認された柏木盈衛(みつえ)二飛曹の遺影や様々な資料、家族に宛てた書簡を展示。静岡県出身の杉山上飛曹は弟の栄作さんに、「毎日飛行機に乗って訓練して居る。富士山がよく見へるぞ」と書き送っている。20歳前後で戦死した若者たちの、生前の青年らしい生気溢れる姿や兄弟思いのやさしい人となりを垣間見ることができる。同館学芸員で零戦墜落地調査団の一員でもある久野一郎さんは、「泣きながら展示を準備した」と話す。

初公開の零戦機銃

 フィリピン・レイテ沖海戦に参加し生還した、久野さんの父・義男さんの資料も出展。徴兵を待たずして海軍に志願するほどの軍国少年だった義男さんは戦争体験で心を痛めたためか、戦前と戦後ですっかり変わってしまった。写真の表情の変化が戦争のむごさを感じさせる。義男さんの次兄の孝次さんは、インパール作戦後ビルマ(現ミャンマー)で戦死している。
 そのほか県内栄町に墜落した零戦のプロペラや、当時の零戦や空母、連合国軍機を細部まで再現した模型など、展示物は多岐にわたる。同館では1998年~2003年にかけ、戦争体験の証言集『睦沢町民の戦争体験』を3集編纂。戦争資料の収集に注力し、戦争に関する企画展を繰り返し開催してきた。久野さんは、「太平洋戦争について直接見たり聞いたりしたことのある人がだんだん少なくなる中、戦争にまつわる『物』を収集し、保管、展示することが博物館の使命だと思っています。戦争の歴史の事実を事実として冷静な観点で調査研究し、後世に伝えていきたい」と話す。1つ1つの『物』が語る言葉に真剣に耳を傾けたい。この機会に是非1度来館を。

問合せ:睦沢町立歴史民俗資料館
Tel.0475・44・0290
月曜休館 開館時間:9時~16時半 入館料無料

 

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