いちはらアート×ミックスまであと34日

中房総国際芸術祭
いちはらアート×ミックスまであと34日 会場へGO!

 3月21日(金・祝)から5月11日(日)までの52日間、開催される『中房総国際芸術祭いちはらアート×ミックス』。各会場を訪ね、制作に励むアーティストの皆さんを順次ご紹介。

 今回は、小湊鉄道終点、養老渓谷駅のひとつ手前の駅、上総大久保駅近くにある旧白鳥小学校へ。同校は、2013年、富山、高滝、里見の3小学校と共に、小中一貫校加茂学園に統合された。
 今は廃校となった旧白鳥小学校を会場にするのは、姜侖秀(カン・ユンス)さん。韓国のアーティストだが、奥様が日本人なので日本語は話せる。俳優で演出家でもある姜さんは、2012年に6カ国9人のアーティスト団体『Cake Tree Theatre』を創立。芸術監督を務め、無言劇『If only』は韓国密陽夏公演芸術祭で若手演出家展作品賞と演出賞を受賞し、韓国芸術経営支援センター主催の韓・英アーティスト交換プログラムでは韓国の代表に選ばれた。昨年は東京でも上演した。
 さて、今回の作品について伺うと、「作品は2つ。旧白鳥小での展示『いちはら人生劇場』と白鳥公民館での演劇『オバケノガッコウヘキテクダサイ』です。演劇作品が『観る演劇』だとすれば、展示作品は『体感する演劇』になっています。作品づくりの情報収集に、私と劇作家の保木本が1カ月市原に滞在して、南市原の50人近くの皆さんからお話を聞きました。そこで一番感じたのは、『つまらない人生』と感じている事柄が、実はとても大切なことなのだということです。これは市原に住む人たちだけでなく、市外に暮らす人たちにも共通することではないでしょうか。これを展示と演劇で表現し、共有したいと考えました」と答えた。  
 展示作品『いちはら人生劇場』は、学校に七不思議のおばけが住んでいるという設定。校舎に入ると職員室には地域や学校の物語が展示されており、テーブルの上に置かれた電話で、おばけと会話ができる。隣の校長室が受付。7つのおばけキャラクターの中から気に入ったおばけを選び、そのスタンプを手の甲に押す。次に教材室へ。小道具置き場になっている。保健室は楽屋。更に進み教室が劇場。ここで、選んだおばけキャラのメイクをして(実際にはしないが、したような仕掛けが)舞台へ。ここで、予想しなかった結末が待っている。「普通、劇場はロビーから客席だが、ここでは裏側から。小道具部屋、メイク室、ステージと俳優と同じ順序を辿る。普通できない経験を楽しんで。最後の部分は内緒」と姜さん。   
 演劇『オバケノガッコウヘキテクダサイ』は劇作家・演出家の保木本佳子さんの戯曲をベースに、 姜さんと俳優がディヴァイジング(脚本を用いずに即興で作品を作り上げる作劇法)で創作。ムーブメントディレクターとしてフィンランド人ボイスパフォーマー、ヘイニ・ヌカリさんを迎え、日韓英の俳優がおばけを演じる。ストーリーは、小学校におばけが住んでいて、子どもたちが話す集落の出来事を元に、毎晩演劇に興じている。ところがある日小学校が廃校になり、子どもたちが学校に来なくなった。自分たちの劇が創れなくなったおばけたちは、学習発表会で演技指導をしていた教師の力を借りて、演劇を上演し皆を呼び戻そうと考えるが…。
 取材日は、『国本一心会』やサポーターの皆さんが教室の片付け作業に駆けつけた。姜さんは「本当に嬉しい。暖かくて親切な人ばかり」と感激の面持ちだった。

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