ソフトボールに身を捧げ続けた証

挑戦チャレンジ
2014日本U19代表選手候補 名取 朱理さん

 心浮き立つ春が来た。市原市能満在住の名取朱理さん(18)は、3月に千葉経済大学付属高等学校を卒業、清和大学へと進学する。朱理さんは現在、日本ソフトボール協会による『2014日本U19代表選手』の候補として選出されており、第5回アジア女子ジュニアソフトボール選手権大会の出場に備えている。
「ソフトボールを始めたきっかけは小3の時、7つ上の兄が野球をしているのを見て自分もやりたくなったから。父に相談すると、女の子は中学生になったら野球部に入れないからといって地域の人に呼びかけて、ソフトボールチームを作ってくれた」と朱理さん。現在もそのチームは存続し、活動を続けているという。ショート、ピッチャー、キャッチャーと多彩なポジションをこなし、小6の時に関東大会出場を果たした。
「中学校は市原中と辰巳台中で選べる地区にいたが、ソフトボール部がある辰巳台を選んだ」という。千葉県選抜のメンバーにも選ばれ、ソフトボールへさらにのめり込んでいった朱理さんは、千葉経済大学付属高校に進んだ。県内一の練習量を誇る同校ソフトボール部は、平日の朝夕練はもちろんのこと、土日は練習試合を終日行い、インターハイや遠征には数日泊まり込みで行くのが常だった。「朝は始発電車、帰りは9時過ぎ。家にはご飯を食べて寝に帰るだけの生活だった。部員の技術能力がほぼ同じだったから、レギュラー争いが激しく油断できなかった」と、高校3年間の生活を振り返る。
 そんな朱理さんを見守り続けた父、義範さんは、「疲れ切って帰ってきて、倒れるようにしてリビングで寝てしまうこともしばしば。ご飯を食べさせるのも大変だった」と話し、朱理さんと笑い合う。朱理さんの性格を義範さんが「負けず嫌い」だと言うと、「その通り。一度、壊れかけたバッドでボールを打った瞬間に手の甲に痛みが走った。ボールを投げられないほどで夜間の救急病院に行ってみたら剥離骨折していた。でも、次の日から練習に参加した。きつくて苦しいこともあったけど、弱音を吐いている自分が嫌になるからがんばれる」と朱理さんも続ける。
 根性と努力の高校3年間はこれからの人生でも貴重な財産になるであろうが、その気持ちを詰め込んだものこそ『ソフトノート』である。毎日の練習や感情を書き続けたノートは6冊、開いてみるとノート一面に文字が刻まれている。また、「私の支えは家族。母は毎日車で駅まで送り迎えをしてくれたし、新聞の切り抜きや試合成績などファイリングしてくれた。父はバッティングのアドバイスをくれたり、練習試合を見に来てくれた。そもそもソフトボールをするきっかけをくれたのは兄。部活でも『感謝の心』をいつも持てという指導があり、私は家族に感謝している」とハキハキと話す朱理さんは、同年代では照れくさくて言えないであろう感情を素直に口にした。
 今までにソフトボールを辞めたかった時期もあるという。「高校3年になるまでは下級生で責任感も少なく練習も辛かったから。でも、単純にソフトボールが好きだったし、インターハイに行きたい気持ちが強くあった。顧問の先生も夜寝ずに作戦を考えてくれたのも有り難かった。それに、木更津総合高校は全国優勝するチームでなかなか経済付属高校は勝てなかったので、どうしても倒しかったというのも理由の一つ」と語る。そして、「中学の時もチームが強くなれず悔しかった。それは部活動の練習時間が他校より少なかったのが原因の1つだったが、それならどうすればいいか考えた。キャプテンだった自分が、県選抜で学んだことをメンバーのみんなに伝えればいいのだと気づいた」と続けて話す朱理さんは、高らかに笑い声を上げる。辛く苦しいことがあっても、どうしたらプラスに変えられるかと考える力を持っているのだ。
『U19代表選手』の候補に挙がったことに対しては、「とてもビックリした」と一言。実業団からの誘いもあったが断り、ソフトボールは高校で引退しようと思っていたという。「おそらく試合でのバッティング勝率の高さが評価してもらえたのだと思う。続けると決めた以上は、代表選手として選ばれるよう頑張るとともに、清和大学のソフトボールチームは今リーグで2部なので、1部に上げるのが目標!」と宣言。新たな目標を告げる彼女の顔は、とても晴れ晴れとしていた。

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