森の博物館で町おこし フットパスと自然観察

東いちはらエコミュージアム

 市原市東国吉の手作り工房『てまひま』の向かい、駐車場を提供する石井商事(市東郵便局隣)に車を止め、右手にある東国吉交差点へ行き五井方面を見ると、井戸を掘る上総掘りのやぐらが見える。道路をはさんで斜め向いには『ふれあいの森入り口』の看板。そこから小道を入り用水路にかかる小さな橋を渡り右は『ふれあいの森』、左の山道を登ると『遊育の森』に出る。
 これらの森を抱える同市の東エリアを盛り上げようと、4月26日、同地で『フットパスウォーク&森の観察会』が開かれ、旧市東村住民を中心に100人以上が参加した。主催したのは、地域の自然、文化、歴史、農業をまるごと展示室にみたて青空博物館として町おこしを行う『東いちはらエコミュージアム』。帝京平成大学教授の仲井克己さん(58歳五井在住)を代表に東国吉を愛する地元有志、里山整備をする『ふれあい千葉』(代表藤崎義雄さん)と地域の子どもたちのため活動する『市津・ちはら台自然楽校』(代表赤松鐵雄さん)など、1年半かけた上総掘りの井戸を2012年に完成させた10人が結成した団体である。
 微生物の浄化作用を利用したエコトイレ、木製のテントデッキやテーブルのある『遊育の森』に到着すると、すでに広場は休憩用のテントを張ったり、井戸で水を汲んだりするスタッフや子どもたちが行き交っていた。臼と杵を持ち込みモチつきの準備をしていたのは竪穴式住居建築に力を貸した棟梁の永嶋さん親子と左官業の吉野さん。山に自生するクロモジの葉で作ったお茶などの飲み物を提供しようと、薪を燃料にロケットストーブで湯を沸かすのは『ふれあい千葉』のメンバー。里山から摘んできたヨモギ、セリなど山菜の天ぷらの用意をするのは『市津・ちはら台自然楽校』の保護者ら。採れたてのタケノコでみそ汁を作ろうと薪を燃やすのは、今回のイベントを機にメンバーとなった地元住民だ。食事用の割り箸には福島の障がい者支援団体の作った間伐材が使用された。
 午前中のプログラムは大人対象の『フットパスウォーク』と子ども対象の『森の観察会』。イギリス発祥のフットパスとは地域にある森林や田園風景を楽しんで歩くための小径のこと。開会式を終えた大人約70人はスタッフの案内で南方面へ向かった。杉林が切れたところを左に下り、右に現れた竹林を通り、『カッパの洞窟』や高田稲荷へ。二股になった山道を右に上がり、およそ300年前の馬乗り馬頭観音像を確認する。さらに道に沿って右に10メートルほど行くと左手に山道がある。そこを通り荒れた休耕田を渡ると、整備された広い敷地内に約200本のヤマザクラやアンズの木が植わる『ふれあいの森』に出た。ひと休みしたあと、トイレ脇の土手を越え左へ行き、藤崎さんらのサポートする女性たちが整備する『なえどこ林業女子の森』へ。途中、花の咲くヒトリシズカ、チゴユリ、ニリンソウなど自然の展示物を鑑賞し、ゴルフ場と隣接する場所で引き返し、出発地に戻った。歩いたのは1時間半ほど。標識はないのでガイドがいないと迷子になりそうだが、スタッフのひとりは「森で迷うのも楽しい」と笑う。
 一方、赤松さんと観察会に出かけた子どもたちは食べられる野草や木の葉などを採ったそうで、「ノビルはタマネギみたい」、「サンショウは苦い」と生き生きとした表情で戻ってきた。今年から開園した同楽校の『森のようちえん』に参加する2歳児を持つ夫婦は「親子ともども森について知った」と喜んでいた。
「戦争中の森には戦闘機の見張り小屋があった」と語る地主の83歳になる山田さんは終日ベンチに座り笑顔。昼食時、おいしそうに天ぷらをほおばっていた瀬又の高齢者グループは「これだけの広い土地を整備し、人をもてなすのは大変な事。男のロマンを感じる」とボランティアの心意気に感心していた。午後から、大人たちはタケノコ掘りで自然の恵みを満喫。子どもたちは間伐材や木の実を使ったネイチャークラフトに興じ、自然の多様さに触れた。作り終えた子どもたちは遊びなれた様子で木につないだロープにぶらさがったり、木製のシーソーに乗ったり。自然楽校に所属する中学生は「自分たちがきれいにした森や掘った井戸を大人たちが利用してくれて嬉しい」と楽しそうに話した。 
 仲井さんは「地域にある資源を生かす里山資本主義という考えのもと他団体とも協力し、地域を活性化したい」と張り切る。現在2千株のニンニクを植え、無農薬で育成中。散策用地図は石井商事で手に入る。

問合せ 石井商事 
TEL 0436・52・0014

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