騒々しい声にも何故か愛着!?オオヨシキリ
「ギョギョシ、ギョギョシ、ゲチゲチゲチゲチ」と、けたたましく鳴く野鳥。オオヨシキリだ。地方によっては、その鳴き声から「行行子」と呼ばれる。初夏に南方から渡ってくる、体長18センチほどのスズメよりやや大きく、全体が淡い褐色をした地味な夏鳥である。姿より声が特徴の野鳥だ。
名前の通りヨシが繁茂する池、河川、湿地、休耕田などで生活する。オスの大声はやっかいだ。朝から晩まで、時には夜通しあの調子で鳴くことがあるという。私も、この声で朝起こされた経験がある。その声を聞くと爽やかさより暑苦しさを感じるのは、私だけであろうか。求愛と縄張り宣言のために必死になって鳴いているオオヨシキリの気持ちは理解できるのだが…。
それでも、木と異なり横枝がないヨシに、左右の足を上下にして巧みに掴まり、バランスをとるような姿勢で、口を大きく開いて鳴いている姿はかっこいい。双眼鏡でよく見ると口元にはヒゲがあり、少し立ち上がった頭の毛が風になびく様など、可愛らしくも見える。口の中は真っ赤だ。繁殖期を過ぎるとパタッと鳴かなくなることを、その赤色にたとえて、「鳴きすぎて口が裂けて鳴けなくなる」とも言われる。
千葉県ではまれだが、カッコウがオオヨシキリの巣に卵を産みつけて、托卵することがある。カッコウのヒナはいち早く孵化し、オオヨシキリの卵を巣外に落として、育児を独り占めする。何も知らず、自分よりも大きくなったヒナにせっせと餌を与えるオオヨシキリの姿は、健気さと共に切なさを感じる。
何に対しても一生懸命さが伝わる野鳥である。そのせいか、声には圧倒されるが、何故か愛着を感じずにはいられない。
ナチュラリストネット/岡 嘉弘