房総最古の浜降り神事 上総十二社祭り

神輿9基が九十九里浜を疾走

 9月13日(土)、長生郡一宮町にある玉前神社には昼前から大勢の人々が詰めかけていた。上総十二社祭りに参加する人たちをはじめ、カメラや三脚を手にした写真愛好家や見物客だ。同祭りは大同2(807)年に始まったと伝えられる房総最古の伝統ある浜降り神事で、県の無形民俗文化財に指定されている。
 玉前神社のご祭神・玉依姫命(たまよりひめのみこと)と、その親族の十二社の神々が年に一度、玉依姫命が上陸したとされる釣ケ崎海岸で再会するというもの。ゆかりのある近郊市町村の神社から神輿が出て釣ケ崎海岸を目指す。玉前神社からは若宮・大宮2基の神輿が渡御。午後1時を過ぎると幣束(へいそく)をのせた神馬(かんのんま)1頭を先頭に、白装束に烏帽子(えぼし)をつけた神主(こうぬし)、緋色の鉢巻きをつけた命婦(みょうぶ)の騎馬4頭が宮出。次いで2基の神輿が発御(はつぎょ)。後乗りの神職、奉行2頭の騎馬もこれに続く。
 約480キロの神輿を担いで、祭典場となる釣ケ崎海岸へ向かう渡御が始まる。担ぎ手の男衆は白のサラシと短パン、足袋を身に付ける。『裸まつり』と呼ばれる所以である。一方、釣ケ崎海岸では十二社祭りを見ようと、神輿が到着する1時間以上前から見物客が待ち受ける。海岸近くに用意された駐車場は他県ナンバーの車も多く満車状態だった。
 次々と海岸際を汐ふみしながら駆けてくる近郊の7基の神輿。そのあと、玉前神社の神輿が神馬、神主、命婦の先導により、後乗りの神職、奉行の騎馬を従え祭典場へと到着する。威勢のいい掛け声や唄声が響き渡るなか、全神輿が参集すると一列に並び『一斉差し上げ』を行う。すさまじいほどの熱気を感じる。たとえば、玉前神社からの神輿は片道約8キロの道を走ってきており、他の神輿も何キロも走り祭典場にきたわけで、担ぎ手の交代や休憩が入ったにしても、疾走してきたのちの『一斉差し上げ』には、男衆の祭りにかけるパワーがみなぎっている。来場者は皆、神輿を担ぎ上げる勇壮な男衆の姿に魅了され拍手喝采。この『一斉差し上げ』は、2011年から東日本大震災の復興を祈願して始められた。『一斉差し上げ』のあと各社の神輿は海岸に建つ鳥居をくぐり、祭典場祭儀の所定地へ神輿を渡御する。
 夕刻、祭儀が終わると神輿は各々の神社へ向かう。途中の分かれ道で、玉前神社の神輿を待ち、神輿を差し上げ別れを惜しむ。埼玉県から来場した夫婦は「前から来たいと思っていた。午前中は玉前神社にお詣りして、雅楽を聴いたり神馬たちを見物した。商店街で買い物してからシャトルバスで祭典場まで来た。神輿も立派で担ぐ男たちも勇ましく迫力満点だった。来年は友人も誘って来たい」と感動した面持ち。地元の家族連れは「毎年、見に来る。遠くに住む親戚や町外で暮らす子どもも祭りの時には帰ってくる」と嬉しそうに話した。
 今年、見逃した人は是非、来年は見に行ってみては。尚、玉前神社では毎月、祭事や行事が行われ、10月は十二神社例祭等、11月には県無形民俗文化財に指定されている上総神楽奉奏が行われる氏子太々祭(だいだいさい)等も。詳細は同神社へ。

問合せ 玉前神社
TEL 0475・42・2711

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