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木の素材としての美しさを生かした家具と金属工芸
- 2014/11/21
- 市原版, シティライフ掲載記事
12月23日(祝)まで、いすみ市の田園の美術館(いすみ市郷土資料館)にて『吉野郁夫 木の家具展』と『金子透・伊藤祐嗣 金工小品展』を同時開催している。
入館するとまず小展示室があり、室内にはいすみ市在住のメタルクラフトジュエリー作家・金子透さんと金工作家(鍛金)・伊藤祐嗣さんの作品約40点が展示されている。金子さんの銀のジュエリーや茶碗、伊藤さんの鍋やパエリアパンなど、日々の暮らしを彩る品々。美しい青の銅器や銀のブローチやリングに目を奪われ、遊び心いっぱいの旅酒盃や銅手燭、鍋など自分が使う想像をして楽しい気分になる。
大展示室には木工作家・吉野郁夫さんの楢やオニグルミ、イタヤカエデ、山桜等の木で作られた家具が約20点展示されている。吉野さんは学生時代にアメリカの木工作家、ジェームズ・クレノフの著書と出会い、その静かな佇まいの作品と細部にまで行き届いた丁寧な仕事に惹かれ、クレノフ・スクールの家具作りを学ぶため31歳でアメリカに留学、帰国後の2007年から長生村に工房を構えた。
精緻な仕上がりの家具や箱など、どれも木の素材の美しさが最大限に生かされている。その上で、随所に使い心地が良く長く使えるような工夫もこらされている。華美な装飾はほどこされていない分、置く場所や使う人を選ばないようにも見える。ベニヤやプラスチック等の新建材にはない、生きた木の魅力が十分に伝わってくる。本物だけがもつ使い込むほどに味わいが深くなる家具。
担当学芸員の嶺島さんは「ものへのこだわりが作品に出ており、大量生産品にはない魅力とオリジナリティーや木目を美しく使っている今回の家具展示。金属工芸の展示とあわせて、木の板・銀の板・銅の板、素材の吟味から始まり、切る、曲げる、接ぎ合わせる、削る、穿つ、磨く等、完成に至るまでに積み重ねられた手仕事のプロセスを展示作品を通して想像してみていただければ」と話す。
また、スタッフの伊藤さんは「美しさと堅牢さを突き詰めたシンプルな形の家具一つひとつが1枚の絵のように見えるように展示しようと思った」とも話した。
問合せ 田園の美術館(いすみ市弥正93の1)
TEL 0470・86・3708
開館時間9~16時30分、(月)休館(祝日は開館し翌日休館)、入館無料。