第20回 東関東マーチングコンテスト金賞 目指すのは温かい音と3連覇

国分寺西中学校 吹奏楽部

 マーチングは華やかで整然とした動きと音楽で観客を魅了する吹奏楽のひとつだ。楽器を持ったまま上半身の姿勢は崩さず行進し、左右前後に移動しフォーメーションを変える。前を向き周囲を見回すことができないので、列と歩幅を合わせぶつからないように動くにはお互いの信頼がなければ成り立たない。
 昨秋、千葉ポートアリーナで開催された第20回東関東マーチングコンテストで国分寺西中学校吹奏楽部が金賞に輝いた。出場したB部門フリースタイルは東関東大会が最高峰である。同部がマーチングコンテストに挑戦しはじめたのは前顧問が赴任してきた9年前。一昨年は千葉県吹奏楽コンクール本選に出場し、8年目にようやくマーチングコンテストでも東関東に進むことができた。「積み重ねた経験と伝統がようやく形になったところだった」と話すのは、3年前から副顧問を務める石橋典子さん(29)。ところが昨年、前顧問が転任となり、夏に千葉県文化会館で開かれた第56回千葉県吹奏楽コンクール予選では惜しくも銀賞となった。本選出場を目標に、朝も夜も練習を重ねてきただけに生徒たちは大泣きしたという。しかし、コンクールの悔しさをきっかけに60名近くの部員の心はひとつになり、次のマーチンングコンテストへ気持ちを切り替えることができた。
 新たに着任した顧問の野口敬史さん(46)はマーチング演奏の指導をするのは初めて。「吹奏楽の演奏技術は野外で行うことが多いマーチングには通用しなかった」という。そこで前顧問の残した結果と生徒の期待に再び応えるべく、野口さんが指揮をとり、石橋さんがマーチングのフォーメーションを勉強し、指導するという二人三脚で進むことになった。石橋さんがお願いした外部指導者の手助けも受けながら、練習に取り組んだ。
 夏休み、炎天下のグランドでの行進は過酷だった。冷却ジェルシートをおでこに貼り、水分補給をこまめにして熱中症対策をしても暑さで楽器は焼けた鉄板のようになる。パーカッションは20キロ、大型のチューバは10キロの重さ。楽器が肩に食い込みアザを作った生徒もいた。グランドの30メートル四方に5メートルごとに釘とテープで作った目印のポイントはすぐにボロボロになった。グランドや体育館などは運動部に貴重な練習スペースを空けてもらい協力してもらったうえ、早朝や夕方など運動部が使用しない時間も活用した。「家族といるより長く部員と一緒にいる」と母親から言われた生徒もいるほどだった。
 大会当日は台風上陸前日。大雨で各校は屋外で練習ができず、会場内はごった返していた。出番は強豪校出演直後。野口さんによると「打楽器のホルダーの金具が壊れるというアクシデントもあったが生徒たちは緊張感を持ちつつも落ち着いていた」そうだ。演奏したのは前顧問が託した難曲『レ・ミゼラブル』。不利な条件のなか新たな一歩を踏み出すという気持ちをこめサブタイトルは『Brand-new world』とした。フランス革命後の19世紀フランスを舞台に自由のために立ち上がる民衆の苦しみや悲しみ、希望を描いた勇壮な曲。入場からポジションに着くまでの間緊張しないようにと保護者も観客席からの声掛けを工夫してくれた。「ひとつの動きが成功するたびに拍手をし、子どもたちを安心させてくれた」と石橋さんは感謝する。衣装も保護者の手作りだ。演奏がクライマックスとなり隊列を組んだ2つのグループが両側から斜めに交差し、きれいなV字型になったとき、「前夜は眠れないほど怖かったが、成功したのを見て涙が出てきた」と石橋さんは感慨深げに振り返る。2年生の新部長の林来凪さんは「全てやりきり結果を出せた。3年生に金賞を取らせてあげられた」と嬉しそうに話す。 
 昨年11月の市原市音楽発表会を最後に、栄冠をつかんだ3年生は引退した。取材日、音楽室では野口さんが指揮する基礎練習の合間に「全員の音がひとつになるように」、「強く息を吹き込んで」など2年生が1年生にアドバイスをしていた。初めて楽器に触れる生徒もいる1年生を先輩が指導して吹けるようにするのが伝統だそうだ。野口さんは「これからも吹奏楽本来の演奏ができる吹奏楽コンクールと一人ひとりが主役となり、責任感と協調性が培われるマーチングコンテストの両方を極めたい」と次年度を見据える。

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