山林や耕作放棄地を開墾し農地に化学肥料や農薬を極力使わない農業を

目標は自給自足の生活
里山ファーム 山﨑毅彦さん 美佐江さん夫妻

 国道297号沿いを牛久方面に向けて走り、小湊鐵道馬立駅信号を過ぎて間もなく、左手に『いちはら里山ジェラート 里山ファーム』の看板が見えてくる。ここを左折し600メートルほど道なりに進むと里山ファームの売店があり、近くにはアイガモ農法で米作りしている田んぼ、更に少し離れた山林の中には、できる限り無農薬・無化学肥料で農産物作りをしている農園が広がっている。
 里山ファーム(山農園)のオーナー、山﨑毅彦さん(53)は、この地で生まれ育ち、サラリーマンになったが、35歳の時「脱サラし農業で生活していこうと思った。代々伝わる田んぼがあったので、サラリーマンをしている頃から休日などを利用して、子どもたちの健康を考え、農薬を使わない米作りができないかと様々な農法で試行錯誤を重ねてきた」と話す。
 そして平成5年より、アイガモ農法を知りチャレンジ。当時の房総では先駆的な取り組みとして、毅彦さんの田んぼには大勢の視察者が訪れた。その後、「米同様、毎日食べる卵も、子どもたちのために安全なものを」と考え、ニワトリに小麦を中心に自家配合したエサを与え、地面にひら飼いにした自然卵養鶏を始めた。
 専業農家として生きていこうと決意した時、毅彦さんは2人の息子に、自分の跡を継いで農業をやる気があるか尋ねた。長男は「ない」と答え、次男の敬行さん(26)は「やる」と答えたそうだ。「自分の代で終わりなら、このままでもいいと思ったが、もし子どもが農業をやろうと思うなら、昔と違って米だけ作って生活するのは大変。だから、もっと規模を大きくしなくてはと、山林を開墾し農地にした」と毅彦さん。 
 「頑張っている親の姿が魅力的だった」と少年時代に農業の道を歩むことを決めた敬行さん。地元の中学校卒業後、全国で唯一の私立農業高校(三重県にある全寮制の愛農学園農業高等学校)へ進学。有機栽培を一から学び、卒業後は千葉大学園芸学部で6年間学んだ。松戸キャンパスでも寮生活だったが、週末は実家に帰り農業にいそしんだ。2年前実家に戻り専業農家に、昨春市原市で教職に就いていた彩美さんと結婚し、毅彦さん美佐江さん(53)夫妻と一緒に暮らしている。彩美さんは「家族皆で働く姿勢に憧れた」と、勤めを辞め、敬行さんと共に楽しい農業をしようと頑張っている。
 毅彦さんは脱サラ10年を記念して「何かがあってライフラインが全て止まっても、生活できるように」と、竈やピザ窯を造り、自噴井戸を水道に、燃料となる炭を作る設備も造った。最終的な目標は、自給自足の生活。「米、野菜、卵はある。肉はニワトリやアイガモがいる。最後の難関は魚。そこで新たに自噴する井戸を掘った。これでニジマスやアユ、コイなどを育てたい」と話す。4年前に山林を開墾し農園にした里山ファーム。野菜や果樹、山菜を作っており、体験イベントの会場にもなっている。
 園内には四阿やログハウスなどがあり、今後は雨天や寒い日にも体験イベントが開催できるよう、大きな窓付き・日除け付きのビニールハウスも建てたいと話す毅彦さん。敬行さんは「今、田んぼと加工品は父、畑は自分と経営が別だけど、あと4年位を目途に、父には引退してもらい自分が全ての経営をしていきたい」と将来の展望を語り、毅彦さんは頼もしそうに見つめる。
 ちばエコ農産物の認証を受けている米や果物を保存料や着色料などの食品添加物を使わずに、販売当日の朝作る団子やおこわは定番人気。ポン菓子やプリン、味噌やジャム等もヒット商品となった。農園で収穫された野菜や加工品は市原市や長柄町の道の駅、市内のカインズホーム、市内青柳の『いちはらのジェラート屋さん』等で販売されており、リピーターは多い。特にこの時期は、里山ファーム近くの牧場でとれた搾りたての牛乳と農園など地元産の果実で作るジェラートが大人気だ。7月末、農園ではブルーベリー収穫・ジャム作り体験が予定されており、また年間通してファームでは収穫体験や薫製、味噌作り、コンニャク作り、芋掘り等も開催している。これからも家族一丸となって「安心・安全な食の提供」、「昔ながらの農家の生活」を里山から発信していきたいという。

問合せ 里山ファーム
TEL 0436・95・3035

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