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いざ、歌って踊れるシニア劇団へ! 舞台は人の心を明るくする
- 2019/6/20
- 市原版, シティライフ掲載記事
- 内房
千葉市文化センターを拠点に稽古を行い、年に一度3月にオリジナル作品を公演している『ちばシニア劇団PPK48』。50歳以上のシニアを中心に、約30名のメンバーで活動している。市原市在住で同劇団1期生の豊田礼子さんは、「劇団名のPPK48は、アイドルのAKB48をもじったものですが、PPKはぴんぴんころりで寿命を迎えましょうという意味です。自分たちの第2の人生を楽しく、そして夢を持って元気に頑張ることをモットーにしています」と、笑って話す。劇団の結成は2014年1月のこと。劇作家および演出家で劇団『ルネッサンス』を主宰していた故・大川義行さんの指導のもと、当初は全くの演技初心者もいるメンバーでスタートした。「先生はその後亡くなられてしまいましたが、私達の中で劇団の解散を提言する者はいませんでした。ただ、自主運営のような形に切り替わったので、それまで先生が判断してくれていた衣装や大道具、演技の指導についてなど様々な面で劇団員の意見が必要となったことに苦労はしました」と、豊田さんは続けた。
最高齢メンバー飯豊すみえさん(98)は、同団に入る以前から演劇の世界にいた。「40年くらい前に、もっと自分の人生を楽しもうと劇団に飛び込みました。小学校1年生の時に学芸会でやった『したきりすずめ』が私の原点かも。ミュージカルの部分で踊りはできないけれど、歌うことは大好き。元気の源です」と、話す。現代の超高齢社会の中で、お金を持っている人だけが高い料金を払って演劇を楽しむことは違う。演劇を通して人々が支える社会を作りたい。そう願っている同劇団は、公演内容もシニア世代の実生活に結びついたものが多い。介護施設と町の人々が奮闘する話、婚活や終活を扱った話など「見る人が共感して、応援してくれることが一番嬉しい」という。踊りあり、歌ありのオリジナル曲が持ち味の同劇団。飯豊さんと前劇団より一緒に活動している中井芳子さん(88)は、「台詞やダンスを覚えることが難しいというのは、メンバー共通で分かち合える悩みです。今でも出演前の舞台袖では緊張するし、本場前に口紅を塗りすぎて焦る夢を見る時もあります。でも好きこそものの上手なれ、達成感は表現しがたいほどです。飯豊さんにもいつも刺激を受けています」と、明るく語った。
練習は主に月に2回、午後13時~15時に行われている。公演が近づくと毎週1度、朝から夜まで練習することもあるというが、メンバーはプレッシャーを感じることはないと口を揃える。家でも練習することも多いようで市原市在住の桐谷美智代さんと茂原市在住の中村佐智子さんは、「孫が舞台を見に来てくれます。私のことを自慢だと言ってくれるのでとてもやる気がでます」、「スポットライトを浴びて舞台を重ねるごとに実力は上がっていると思います。孫と読み合わせする時もあるんです。私は昔から声が小さかったんですが、ここの練習で鍛えられました」と口々に話す。
まだ限界ではない
ダンスの練習中、メンバーの動きはとても軽やかで表情も明るい。すっと手を伸ばし、足を上げる。練習スタジオの全身鏡に映る姿を確かめるように、目線をまっすぐに前へ向ける。演技や脚本、ダンスの振り付けなど外部の玄人に指導を仰いでいる同劇団。4月下旬の練習日では、振付担当のスドウ瑠理さんによる指導が行われていた。スドウさんは劇団四季研究所の41期生で『ライオンキング』や『マンマ・ミーア』など多数の出演歴がある。現在は日本とアメリカを拠点にダンサー・振付師として活動している。そして、同劇団に対して「2年前から指導させていただいていますが、どんどん上達されていて未だにのびしろが見えません。子役でもプロでもない、シニアという集団。動きやキレなど、同世代が辿りつけない境地に向かっているようでとても教えがいがあります」と、楽しそうに語った。
公演回数を重ね、同劇団は新たな方向性を見出そうと奮闘している。同団代表の高橋清さんは、「今は集客力も減少傾向にあり、いかに世代にあったものを提供できるか模索しているところです。世界の舞台という大きな目標を胸に、練習を続けていきます」と最後に意気込んだ。同劇団は現在メンバーを募集中。月会費は3千円。公演時期や団員応募について詳細は問合せを。
問合せ:豊田さん
TEL.080・1223・5529