それぞれできることを精一杯に オープンな雰囲気で、楽しく吹奏楽を  緑区吹奏楽団【千葉市】

 千葉市緑区おゆみ野公民館を拠点に活動している『緑区吹奏楽団(MSB)』。愛称は『みど吹(すい)』、設立10周年となる来年2月には、第9回定期演奏会を開催する。毎週土曜夜の練習も、コンサートの開催も、感染予防対策をしながらの取り組みになっているという。

人の縁で順調なスタートに

以前行われた演奏会

 緑区吹奏楽団は、東日本大震災直後の2011年4月に創団した。メンバーは17名ほど。一緒に演奏する機会が減っていたメンバーたちが、改めて集まることにしたのがきっかけだった。しかし、そのタイミングで起こった震災。練習場所も確保できる状況ではなかったが、団長の伊藤喜和さんは、「沈んだ気持ちを払拭する、皆で音楽を楽しめる場所が欲しいという思いでした。椎名やおゆみ野の各公民館で、できる時だけでもいいからとスタートしたんです」と話す。
 設立した翌5月には、団員の高校時代の恩師である穴山和義さんに指揮を依頼。話を聞いてもらうだけのはずが、いきなり練習見学も行われたそうだ。「穴山先生は赴任した県内の各高校の吹奏楽部を指導、県で金賞、関東大会・東関東大会出場などに導いた実績ある先生です。同好会等で指揮していただける方ではないのですが、思い切ってお願いしてみました。やはり最初の見学では、あまりのヘタさに絶句されてましたね」と、広報委員長の高田帆乃江さんは笑顔で当時を振り返る。対して穴山さんは「いやいや、あれは一目惚れだったんだよ」と言う。
 穴山さんは山武市在住。音楽大学ではクラリネットを専攻し、38年間、音楽教員として県立高校の吹奏楽部を指導してきた。「学校の部活動とは違って、一般吹奏楽団はメンバーの年齢も経歴も様々ななかで音楽を楽しむ集まりです。一般吹奏楽団の演奏会は何度も鑑賞に行きましたが、その練習を見たのは初めて。とても新鮮で、こういうのもいいな!と思いました」。穴山さんはすぐにも音楽監督と常任指揮者を引き受けるが、これが縁となり、かつての教え子が穴山さんを慕って入団するなど、2カ月ほどで団員は倍以上に増えたという。団長の伊藤さんは「まさか初年度の活動で、コンクール出場可能な人数が確保できるとは思ってもいませんでした。さすがに、その年の出場は申込みませんでしたが、驚くほど順調なスタートになりましたね」と話す。

出席率も高く、和やかに熱心に練習

演奏会では毎回、楽しい演出も考える

 現在、メンバーは10~60代の58名。毎年メンバーの入替りはあるが、現役高校生や専門学校生もいて、卒業後も続けたり、この練習に参加できる条件の就職先を探したりと、多くの人が長く在籍する傾向があるという。「家庭の事情で離団し、その後再入団という人もいます。演奏に対する向上心は忘れず、自分たちができることを精一杯やって皆で楽しむ、というコンセプトなので、オープンな雰囲気なんです。コンクール出場も、自分たちのレベルを確認するためですし、それぞれ楽しめているのだと思います」と伊藤さん。穴山さんも「仕事が忙しくて、ようやく土曜の練習だけ来られた、という人もいます。皆が毎日練習できるわけもなく、団員の演奏経験もそれぞれまったく違うので、この演奏でダメ!ということもないんです。私も皆さんの音を聴きながら、常に手探りで進めてまとめていく、みたいな感じですね」とのこと。
 今年の活動は感染拡大防止のため、3・4月はリモートで合奏、6月からは出席できる人のみで練習、という形を取った。取材した11月は、今年初の演奏会・クリスマスアンサンブルの練習と、定演の練習を組合せ、アンサンブルメンバーが入れ替わりながら定演を全体練習で、となっていた。穴山さんは「カウントをしっかり、テンポが遅れないように」「人数が少ない楽器はできるだけ大きな音で」「盛り上がりでは互いの音を聞きながら合わせてください」とメンバーの音がバランス良く響くよう、丁寧に指導。団員たちも和やかながら一つ一つ真剣に演奏し、公民館の講堂いっぱいに迫力ある音が溢れていた。
「他の地域ではまだ活動休止も多いので、演奏会に向かって皆で練習できることはとてもありがたいです。普段から団員は、お盆もクリスマスも関係なく、こんなに出席率が良くて大丈夫?というくらい熱心。私たちも楽しんでいますので、ぜひ皆さんにも楽しいひとときを提供できたらと思います」と高田さん。メンバーも随時募集中。練習は毎週土曜17時半~21時、おゆみ野公民館、見学自由。楽器パートなど詳しくはホームページで。
mail:info@midosui.com
http://www.midosui.com

●クリスマスアンサンブルコンサート
12/6(日)14時開演 おゆみ野公民館 入場無料
●第9回定期演奏会
2021年2/14(日) 13時半開演 千葉市民会館 入場無料
曲目:ミュージカル「レ・ミゼラブル」より、ヴィヴァ・ムシカ!、銀河鉄道999、モリコーネ・メドレー、塔の上のラプンツェルメドレー 他

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】第1回プロジェクトチームのメンバー。前列中央は小出市原市長  市原市は2021年5月、内閣府から『SDGs未来都市…
  2.  飛鳥時代から連綿と紡がれてきた日本刺繍の世界。繊維の宝石と呼ばれる絹地に、光沢のある絹糸で一針ひとはり刺して作る刺繍は、繊細で緻密、鮮やか…
  3. 【写真】昨年の慰霊顕彰と生誕祭  4月1日(土)長柄町高山で、同町出身・大田實海軍中将(享年54歳)の慰霊顕彰と生誕祭が開…
  4.  日本百景のひとつ、茂原公園の満開の桜。春爛漫の風景が堪能できる『茂原桜まつり』の期間中、3年ぶりに『茂原公園・桜の山の春の市』が開催されま…
  5.  読者の方々から映画に関するお問合せが多く寄せられましたので、今年度より「懐かしのシネマ」がスタートいたします。洋画・邦画・監督・俳優等、素…
  6.  昨年のゴールデンウイークに友人から「ウメハルシメジが公園に出たよ」と連絡がありました。ウメハルシメジはまだ見たことがないキノコです。さっそ…
  7.  昨年11月、市原市能満に市原歴史博物館がオープンした。これは既存の市原市埋蔵文化調査センターを増改築した施設で、愛称は『I’Museum …
  8.  御十八夜は市原市の中心に位置する米沢の森の標高162・3mの山頂で、晴れた日には東京湾やスカイツリー、北は筑波山、富士山、南アルプスや鹿野…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】第1回プロジェクトチームのメンバー。前列中央は小出市原市長  市原市は2021年5月、内閣府から『SDGs未来都市…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る