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【市原市】安全は与えられるものではなく獲得するもの
- 2020/5/4
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1月12日(土)、市原市市民会館で『安心安全なまちを目指して』と題した防災とボランティア講演会・防犯推進リーダー研修会が開催された。市内から集まった約360名の参加者は2時間半かけて2部構成の講演会を静かに聴講した。開催の目的について、市原市総務部危機管理課の課長・佐久間重充さんは、「近年、地震や豪雨などの自然災害が多発していることから、地域のみなさんの危機管理意識は高まっていると思います。防災や防犯に関しては自助共助が大切ですが、市民のみなさんの声をお聞きすることで行政として公助の面にも役立てたいです」と話す。訪日外国人だけでなく、これからは外国人就労者も増加していくだろう日本。市原市も決して例外ではないことを想定し、市は避難場所等への誘導案内標識を4カ国語対応にする準備を進めている。
日本で生きている以上、どこに住んでいても逃れられないだろう地震。事前に対策することで命を守るにはどんなことをすればいいのだろうか。第1部では一般社団法人防災ガールの設立者で代表理事の田中美咲さんが、『防災の伝え方・広め方』について丁寧に説明した。「私は東日本大震災が起こった翌月、会社員として働き始めました。平日は仕事をして、土日は福島県へボランティアに行く生活を繰り返すうち、私になにができるのだろうと考えるように。同じことを繰り返したくないと思い、福島県に移住して復興支援の事業責任者を担った後、東京に戻ってから『防災ガール』を立ちあげた」という田中さん。
今では全国に130人以上のメンバーを持ち、国や行政、企業約80社以上と連携しながら防災業界を牽引している。東日本大震災時には、都内で働いている女性の多くが神奈川県や千葉県の自宅まで歩いて帰ったという。「もし、会社以外の普段生活していない場所で被災したら?避難場所が被害にあっていたら?1人だったら?などを想定して、自分の意志で情報を取得する方法を見つけておくことが必要ではないでしょうか」と、田中さんは今回の講演テーマ『教えてもらうのではなく、自ら問う』に添って聴講者に呼びかける。防災グッズを持っていない、持ち歩かない原因は、購入料金の高さや見た目の不格好さ、普段から使用しないことだと同世代への聞き取り調査で判明した。それら意見を生かし、ポーチに入れて普段から持ち歩ける防ポケッタブルシューズ。笛がついている上に、いざという時には止血したり、紐をほどいてパーソナルスペースを作ったりできるパラコードミサンガ。無添加調理で『非常食』と書かれていない保存食など数々の商品を開発してきた。「熊本地震の時、非常食があるにも係わらず3日間も手をつけなかった人が多くいました。それは、非常食という文字を見るだけで本当に非常時なのだと感じ取ってしまう精神的な拒否反応や、継続して食べたいと思えない味の問題がありました」という田中さん達『防災ガール』は、実情に基づいた改善や発信を続けている。障がいのある人や妊産婦、日本語の分からない外国人など特別なケアが必要な場合に向けて、相手がどういう気持ちか理解するための体験型の避難訓練も実施している。
危機管理を意識して
第2部の防犯部門では、元警視庁警察官で現在は公益社団法人日本防犯設備協会で特別講師をしている富田俊彦さんが、『便利さの裏に潜む犯罪』について講話した。「電話で高齢者を狙ったオレオレ詐欺の件数や被害額は減少しています。しかし最近、銀行へ行かないよう個人のタンス預金を狙った詐欺が出てきています。金庫の売り上げが好調のようですが、そこに全財産保管することは止めましょう」と、富田さんは訴える。泥棒に自宅の侵入を許さないことが最も大切で、そのためにある程度自主防衛することも必要。たとえばマンションの共同住宅では郵便受けに鍵を無造作に入れないなど、管理は徹底しなければならないのだ。今ではインターネットで合鍵を注文して犯行する事例もあり、鍵本体を他人に見せない、渡さないなど注意することが良いとされる。
また、キャッシュレス化が本格していく中、顔や指紋の認証も便利である一方、犯罪の傾向も変わってくるとか。富田さんは最後に、「刃物を使い親族や警官を殺傷する事件も多いですよね。子ども達の身近な所にも事件は潜んでいます。少子化な上に、都会の学校に出て行く子どもは多いですが、働き始めてから再び戻ってきたいと思えるようなまちづくりをしていきましょう。どうか、優しく見守ってあげてください」と語った。市原市を安心安全なまちにするためには、各個人の意識をより高めることが必要とされている。
問合せ 市原市危機管理課
TEL 0436・23・9823