子どもたちの喜ぶ顔が見たくて
- 2013/12/20
- 外房版
子どもたちの喜ぶ顔が見たくて
勝浦市在住の竹細工・工芸作家、福山格史さんの工房には様々な材料や工具が所狭しと積み上がっている。「ものを作るのが大好きでね。種々の素材から形あるひとつの作品が出来上がっていくのが楽しい。集中すると、1日中ここに籠っています」と元大工の福山さん。
幼少の頃から、地元の日枝神社で毎年夏に行われている祭の囃子を耳にしてきた。囃子で使う自分の竹笛は自分で作る慣しだった。虫の置き物や人形、細い竹軸の頂点でバランスをとりながら揺れるゆらりとんぼなどの竹細工を本格的に手がけるようになったのは20数年前のこと。現在はガラス棒を熱で溶かして作るとんぼ玉、凧、ペットボトルロケット、貝殻を使ったオーナメントまで幅広い手工芸に携わっている。これらの作品は同市内、下町・仲町通りで行われている朝市で販売している。
また、千葉県子ども会育成会指導員として、工作や遊びを通じて子どもとのコミュニケーションをとることの大切さを親に教える活動も行っている。福山さん手作りのおもちゃは、家庭で作って遊べるよう組み立て式のキットになっているものが数多くある。例えば福山さんが発明した空中を飛ぶおもちゃ、『ウイングブレード』。飛行機の翼の形にカットした発泡スチロールと重りを使ったもので、在庫切れになるほど好評だとか。
自らの子育てにも大いに関わってきた。「大切なのは親子での対話。子どもときちんと向き合っていれば、信頼関係もおのずと強くなるものです」地元の子どもたちを喜ばせてあげたいと1年間かけて準備しているものがある。自前のあご髭だ。クリスマスの時期になると、地域の保育園、朝市や公民館などで行っているクリスマス講習会で白い髭のサンタクロースに扮してプレゼントを配る。クリスマス講習会は、ケーキを作ったり身体を動かすゲームをしたり、子ども達が他人と関わり合いながらクリスマスを楽しむ方法を教えるというもの。「長いあご髭は手入れが大変なんですよ。櫛で梳かすのはもちろん、ブリーチで白に染めたり、納豆を食べた後はべとつくのですぐにお風呂に入ったりとかね」と笑うが、本物の髭は子ども達に大人気だという。以前、保育園のクリスマス会に付け髭をしてサンタクロースとして登場したところ、園児に引っ張られてとれてしまったのが髭を伸ばそうと思いついたきっかけだ。「サンタが来たんだよ、と家庭での話題作りに役立ててもらえば」と話した。