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誰もが楽しめるパズルを作り、生涯学習講座や本で提供 ~田波 武 さん~【市原市】
- 2022/5/6
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- 市原市
市原市在住の田波武さんは、昨年4月、パズル界初の『イロハ』3文字を使ったクロスワードパズル、『ひらめきの右脳 理詰めの左脳を覚醒させるイロハマンダラ』を自費出版した。同年5月から一般書店での販売を開始したが、好評のため、現在は第2弾を秋の発刊に向け制作中だ。コロナ禍の前は、千葉市と市原市での生涯学習の講師に登録し、ボランティアでパズル講座などを開いていたという。「腰や足が悪くなってきたので、今後はなかなかボランティア活動もできないと思うのですが、その分、色々なパズルを作りたいと思っています」と話す。
解くことからパズル作りに
田波さんは奈良県出身。関西に在住し、仕事は京都などでいくつかの企業に勤め、その後転勤で市原に越してきた。京都での仕事は、どれも最新技術を使うものづくりの現場だったという。「京都は歴史ある伝統の街ですが、最先端を取り入れて新しいものを生み出す地域でもあります。若いころ勤めていた会社の隣にトランプを作る会社がありましたが、これが今の大手ゲーム会社の任天堂。京セラ(当時は京都セラミック)の設立も通勤途中にあったので知っています。こうした環境が、新しい技術やものに惹かれる私の性格に影響しているかもしれません。違うものを作りたくなるのは、仕事でもパズルでも同じだったので」と田波さんは話す。当時は転職することが珍しく、「飽きっぽい」「仕事に熱が入ってない」と周囲からよく言われたそうだ。田波さん自身は「仕事で新しい技術を学ぶのは楽しかったため、かなり気楽にやっていた」と屈託ない。
パズルを始めたのは中学生時代。1冊のパズル本がきっかけだった。「昭和31年出版、小城栄(おぎさかえ)さん著作の『図形パズル』です。当時は130円。今も大事に持っています。とにかく図形を組合せて形を作るのが面白くて。パズル作家になりたいと思っていたほどでした。高校卒業後に就職しましたが、パズルはやめられませんでしたね。もっぱら、パズル本や新聞掲載のパズルを解いて懸賞に応募し、賞品が当たったこともけっこうありました」。30代になると、田波さんは針金を曲げて知恵の輪を作るなど、パズルを自作するようになる。パズルは文字や図形で構成される。最初はリメイクで簡単な組合せのものから作り、やがて、どこの家庭にもある薄いボール紙や折り紙を使い、立体に組んだり、好きに並べ替えるパズルを手作りするようになった。それが、定年後に本格的に始めたパズル作りと、ボランティアでのパズル講座に発展する。
「一時期、特別支援学級で指導の手伝いをしていました。いくつもの6面体やキューブのブロックを作り、これを立方体になるように組む立体パズルや、折り紙を何度か折りハサミで1回切ってハート型にする『ひと裁ち(たち)折り』など、子どもたちはとても喜んでくれました」。特に、ひと裁ち折りをいくつもの色で大小様々に作って並べる『ハートづくしのモザイクパズル』は、田波さんが考えたもの。誰が作っても同じ模様にならず、自分だけのカラフルなアート世界が作れるため、子どもたちにも生涯学習講座の大人にも人気だったという。「ひと裁ち折りのハートは、90度と45度の角がある10角形。並べるとピタリとはまって、幾何学模様のようになる。だからパズルにできるんですね」
組合せて新しいパズルを
田波さんのパズル本『イロハマンダラ』は、『イロハ』の文字だけのクロスワードと、数独の解き方を組合せたもの。それぞれの列・行・ブロックに、『イロハ』の文字が3つずつ揃うように、縦・横のマスを確認し、入れられる文字を探して順に埋めていく。数独と同じ解き方でも、数字よりカタカナのほうが分かりやすい、という人もいるそうだ。どのマスにどの字があるか、指でたどって覚える作業も、短期記憶のトレーニングの助けになる、と言われている。「答えでマスが全部埋まると模様が浮き出たり、問題と答えがページの裏と表でピタッと合わさる問題だったり、同じイロハでも楽しくできるよう工夫しました」と田波さん。今制作中の第2弾は『イロハ』ではなく、9文字のことわざや常套句、温泉の地名を使う。9字の中に同じ文字があると問題にならないため、使える言葉を探すのが大変で、図書館でも色々調べたそうだ。
「パズルは様々な種類がありますが、どれもひとりでする地味なもの。けれど、お金をかけずに楽しめますし、作っても材料費はかからない。マイナーですがもっと楽しく広められないか?と考えたのと、これまでお世話になってきた人たちに恩返しができていないので、その方たちに元気だと伝わればいいな、代わりに誰かの役に立てればいいな、という思いで、ボランティアや本の出版をしてきました。ぜひ家でチャレンジして楽しんでいただければ嬉しいですね」と田波さん。今後は、イロハマンダラをブロックにする立体パズルも作っていきたいそうだ。
・『イロハマンダラ』A5版 96P 税込550円東京創作出版
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Tel.047・391・3685
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