狙撃王グランプリ開催 間伐材と木の実を使ったゴムパチンコで森へ誘う

森のスポーツパチンコ協会

 「捨てる枝で利益を生み、森林整備と地域活性化をしたい」と話すのは森のスポーツパチンコ協会JSSA(JAPAN SPORTS SLINGSHOT ASSOCIATION)理事長の田島俊介さん(32)。同協会は毎年春と秋にゴムパチンコの競技会『狙撃王グランプリ』を開く。メディア関係の仕事をしながら、協会の広報を務める井上源太郎さん(41)は「かっこいい遊びを入口に、林業に興味を持ってほしい」と意気込みを話す。
 同協会は、長生郡長南町に拠点を置き、荒れた里山や人工林など山林の整備を中心に、間伐材のバイオマスエネルギーや、クラフト材などの利用促進ほかで林業の六次産業化に挑戦する(一社)もりびとが母体。2015年春、田島さんら若手メンバーが協会を設立し、ゴムパチンコやクラフトづくりのイベントやワークショップを開き、売り上げの一部をもりびとに寄付している。
 公式球はクヌギのドングリ。競技具本体の素材は、焼くか粉砕して処分するしかなかった間伐材を使う。試合は距離によって点数の違う的で得点を競う。もともとは「子どもたちにボタンひとつで遊べるコンピューターゲームの世界から出て、森を知ってほしい」とはじめたが、毎回、集まる参加者5、60名の年齢層は幅広い。
 ゴムパチンコは太さ約2.5センチ、長さ25センチから30センチぐらいのしっかりした枝が最適。木を倒したら、その場で枝の角度が均等の枝を選んで集める。「玉を収める部分は牛皮の端切れ。強度のある天然ゴムはあるメーカーが特別に提供してくれた」。井上さんが試行錯誤し完成したゴムパチンコは、2015年、木の良さや価値を再発見させたと林野庁のウッドデザイン賞に入賞した。「いつかイノシシなどの有害獣の皮も使ってみたい」と里山の環境も気遣う。
 長生郡にはケヤキ、サクラ、シイ、カシなどが植生する。それら伐採後の木からゴムパチンコを作ろうとした井上さん。もりびとの活動中に、Y字型の枝を探していると、興味を持ったのが田島さんだった。1カ月後、完成品をもりびとの会議で見せると、通信販売の仕事をする深田和樹さん(34)が「これは売れる」とインターネット販売を勧めたという。井上さんは「何か面白くなりそうだと思い始めた」とはじまりを語る。
 「狙い、打つという行為は人間の狩猟本能そのもの。ゴムパチンコはアニメの主人公も武器として使う子どもたちの憧れの道具。大人でもワクワクする」と語るのはインストラクターとして高い技術を持つ深田さん。『狙撃王グランプリ』は、午前中に自分のゴムパチンコ(マイパチ)を作成したり、森で玉のドングリを拾ったりし、午後、競技に挑む。的はペール缶をくり抜いたもの。メンバーの三島ゆみこさんは「木の実が的に当たった時の音が最高にいい」と話す。
 2015年5月、日本の名水百選に選ばれた熊野の清水公園(長南町)にて、1回目の競技会を開き、初代狙撃王となったのは小学4年生。2回目以降は長柄町都市農村交流センター『ワクワクながら』にて。長柄町の後援も得て、東京メトロの丸の内線方南町駅でベビーカーを上げ下ろしする『おろすんジャー』、中野区に出没する『おばけん忍者』、射撃時にコミカルなパフォーマンスを行う林業関係者など、遊び心のある大人たちも真剣勝負を繰り広げた。次回は11月5日土曜日開催予定。
 田島さんらは「これからは全国に支部を作りたい」と希望に燃え、手始めにバイオマスエネルギー利用に力を入れる山梨県道志村に支部を設立する。協会が狙うのは「競技人口を増やし、社会貢献型ビジネスで日本中の森を元気にすること」。ほかにも、毎年夏に開かれるフジロックフェスティバルのNGOヴィレッジへの参加、地域のイベント出店やワークショップを開き、活動を広げている。また、ゴムパチンコ本体の製作を地元の施設に委託するなど、地域に還元できる形も模索中。「今後は木を倒す現場を見せることも考えている」そうだ。ワークショップ開催依頼も受け付けている。
 7月末、かずさアカデミアホールで行われた夏休みの工作教室を訪ねると、メンバーに教わりながら、袖ケ浦市や市原市からきた小学生たちが枝を切ったり、ヤスリをかけたりしてゴムパチンコを作り、「当たった」と射的を楽しんでいた。           (荻野)

問合せ (一社)もりびと内
TEL 0475・36・3771

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