房総往来

歌うエッセイスト 山里 吾郎

 先月上旬、千葉市のホテル・ミラマーレで新春コンサートが開かれた。新春と言うにはちょっと遅めだが、ある不思議な文化人の誕生日記念を兼ねていた▼酒井登志生さん。市原市新堀の出身で今は千葉市稲毛区に居住。名前を聞けば『あーぁ』とうなずく方も多かろう。ただ冒頭に「不思議な」と書いた通りちょっと正体不明なほど多面な顔を持った文化人だ▼最近はエッセイストや民話の発掘家。もともとは作詞・作曲から歌手、さらに舞台プロデューサーまでこなす音楽家として幅広く活躍。さらに私信のようなエッセーや、時折いただく手紙ではいつもどこかを病んでおられるのだが、実際にお会いすると元気人そのものに見受けられる「不思議な文化人」である▼そんな人だから正確な年齢など知るよしもなかったが、今回のコンサートは77歳、喜寿のお祝いとして酒井さんを慕う仲間が企画したものだった▼会場は最上の16階。山側には県庁、海側にはポートタワーと県都の顔が一望できる。約100人の招待客は美しい眺望を楽しみながら、ジャズの巨人・大原保人氏のピアノ演奏、世界3代テナー・秋山衛氏の美声に酔いしれる▼興がのってきところで酒井さんの出番。「気管支ポリープを患っている」と前置きしながら軽妙なトークとともに作詞作曲の「白い花」やシャンソンの「枯葉」など、お得意のナンバーを歌い上げた▼最後にハプニングがもう一つ。数カ月休載していた千葉日報へのエッセーが近く復活するという。タイトルは「房総人間劇場」。酒井さんの交遊録だが『自分も選ばれるかな』―勝手な期待を胸に楽しかった会場を後にした。

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】第1展示室  人々の暮らしを様々な面で支えている人工衛星。ロケットで打ち上げられた人工衛星は地球の周回軌道に投入さ…
  2. 【写真】教室の講師と子どもたち  JR浜野駅前と五井駅前でダンススタジオを経営する堀切徳彦さんは、ダンス仲間にはNALUの…
  3.  市原市不入の市原湖畔美術館にて、企画展『レイクサイドスペシフィック!─夏休みの美術館観察』が7月20日(土)に開幕する。同館は1995年竣…
  4. 【写真】長沼結子さん(中央)と信啓さん(右) 『ちょうなん西小カフェ』は、長生郡長南町の100年以上続いた小学校の廃校をリ…
  5.  沢沿いを歩いていたら、枯れ木にイヌセンボンタケがびっしりと出ていました。傘の大きさは1センチほどの小さなキノコです。イヌと名の付くものは人…
  6. 『道の駅グリーンファーム館山』は、館山市が掲げる地域振興策『食のまちづくり』の拠点施設として今年2月にオープン。温暖な気候と豊かな自然に恵…
  7.  睦沢町在住の風景写真家・清野彰さん写真展『自然の彩り&アートの世界』が、7月16日(火)~31日(水)、つるまい美術館(市原市鶴舞)にて開…
  8.  子育て中の悩みは尽きないものですが、漠然と考えている悩みでも、種類別にしてみると頭の整理ができて、少し楽になるかもしれません。まずは、悩み…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】第1展示室  人々の暮らしを様々な面で支えている人工衛星。ロケットで打ち上げられた人工衛星は地球の周回軌道に投入さ…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る