古民家に浮かぶ銀河

 『アートいちはら2016春』。アートハウスあそうばらの谷では鈴木ヒラク展が開催された。築100年以上の古民家をギャラリーとして活用しており、その一室、自然光が差し込む縁側の奥には光が散りばめられたような幻想的な作品が展示されていた。まるで未知なる時空へとつながる回路の入り口、あるいはポッカリと空いた宇宙への入り口のようだ。
 路上の交通標識や自転車などにも用いられる大小様々な反射板を直感的に配置し、銀河のイメージを作り上げたもの。外からの光によって生まれ浮遊する光の集合体は、明け方、晴天の昼間、太陽が沈みかけている夕方とで異なる表情を見せる。薄暗い室内で近寄って観るのもよし、縁側の向かいに置かれたベンチから眺めるのもよし。「写真撮影可。フラッシュをたいてお楽しみください」とある。「面白いですね。フラッシュをたくと新たな光が生まれ、その瞬間、自分も一緒に作品を作っているような気持ちになる」と来場していた男性。様々な角度から何度も写真をとる来場者も多かった。
 さわやかな風が吹き抜ける庭。ベンチに腰掛け、「風の音が心地いいね。動けなくなっちゃう」とまったりする人も。隣にあるJA市原市女性部によるカフェ『おもいでの家』も大盛況。倉庫を改造したという建物の内装は、木の梁と白い壁が明るい雰囲気。壁にはツルで編んだリースや植物が飾られており、古民家とともに心癒される空間となっている。料理はタケノコ、ヨモギ、ユキノシタなど7品目の天ぷらのほか、サトイモのごま味噌和えやワラビのショウガ醤油和えなどの小鉢も絶品だった。
 鈴木ヒラク展は来年行われる『いちはらアート×ミックス2017』でも同地で開催予定。古民家と新感覚作品のギャップをご堪能あれ。

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