地域の歴史を探る入口として鉄道をみる

 11月24日(月)まで、「そではく」こと袖ケ浦市郷土博物館で企画展『袖ケ浦と鉄道 袖ヶ浦駅・長浦駅』が開催されている。今回の企画について、担当学芸員の光江章さんは「新幹線開業50周年記念など10月は鉄道イベントが多く、また長浦駅に続き袖ケ浦駅も新しくなることから、時代の節目にできたり時代を反映している駅にスポットを当ててみたいと考えた。これまでの博物館の展示企画としては珍しいテーマだと思うが、鉄道ファンはもちろん、地元の2駅を取り上げたので、地域の皆さんが楽しんでもらえると嬉しい。お子さんが喜ぶ展示も用意し、来場者へのアンケート結果に応え、展示の文字も大きくした」と話す。
 大正元(1912)年に開業した袖ヶ浦駅(当時は北条線で楢葉駅という名称だった)。これまで内房線では最も古い駅舎だったが、102年の歴史を終えて今年10月に新しい駅舎として生まれ変わる。開業から40年経った昭和49(1974)年、内房線にかわり駅名が袖ヶ浦に改称された。また、長浦駅は67年前の昭和22(1947)年に開業。今年2月に新駅舎が完成した。鉄道の変遷を懐かしく感じる世代から知らない世代まで、展示を楽しめるつくりになっている。
 展示内容は、①鉄道ができるまで ②鉄道のはじまりと千葉県 ③楢葉(袖ケ浦)駅 ④長浦駅 ⑤もうひとつの鉄道 ⑥鉄道のすがた ⑦鉄道のこれからと7つのコーナーで構成。実物や写真、パネルなど様々な興味深い資料が、見やすく展示されている。皆さんは、袖ケ浦市内にある6つの駅をご存知だろうか?内房線の袖ケ浦駅、長浦駅、久留里線の横田駅、東横田駅は分かると思うが、あと2つ、貨物を運ぶ京葉臨海鉄道の北袖駅と京葉久保田駅もある。そして、鉄道と貝塚の関わり。明治政府に雇われた生物学者のモースが、汽車で横浜から新橋へ向かう途中、大森貝塚を発見した。それで、貝塚(シェルマウンド)と名付けられた。貝殻に混じって縄文土器等も見つかったことから、この発掘が日本の考古学のはじまりだといわれている。
 そんな「目からウロコ」の展示や、滅多に見ることができない昔の機関士養成の教本(2013年調べでは、男子が大人になったらなりたいもの7位が電車・バス・車の運転士)、鉄道省時代の駅員制服、国鉄時代の駅長制帽、楢葉駅時代の切符、大正8年の定期券、「実物を見ることができたら何か良いことがあるかも」と光江さんが言う日本で1台しか走っていない京葉臨海鉄道のシルバーのタンク車輌写真、内房鉄道倶楽部の協力を得てのNゲージをはじめマニア垂涎の品々も展示。尚、展示室の外の壁面には県内各線駅舎の写真が展示されている。内房線の駅舎は寄棟屋根、久留里線の駅舎は切妻屋根といった違いがみられる。
 乗り鉄、撮り鉄、食べ鉄…鉄道に対しての楽しみ方は人それぞれ。思い出の駅もあるのでは。そんな記憶を呼び起こすきっかけになるかもしれない展示。館長の山田常雄さんは「駅は文化の交流点。私が大学へ通うのに利用していた駅は、様々なファッションや流行りのモノを見ることができ、新しい文化を取り入れる窓口だった。駅に行くのはワクワクして楽しみだった。この企画は、駅を中心に袖ケ浦と鉄道の関わりを通し、鉄道の果たしてきた役割、鉄道を支えているもの、鉄道や駅に対する人々の思いなどを取り上げた。駅の変遷は地域の歴史を写しているとも言われる。今回の展示から鉄道と地域の歩んできた道に思いを馳せると共に、地域の歴史を探る入口として鉄道を見ていただけたら」と話した。
 是非、この機会に見にいかれてはいかが。尚、本日10月18日(土)13時30分から館内研修室にて『袖ケ浦学房総の鉄道』(講師は鉄道友の会参与・白土貞夫さん)を開催。館内展示解説会は、10月26日(日)・11月16日(日)・23日(日)いずれも13時30分から。

問合せ 袖ケ浦市郷土博物館
TEL 0438・63・0811開館時間917時、(月)休館だが、祝日の翌日、11月3日・24日は開館。
入館無料。

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