彼岸花の里と桔梗塚伝説

 地域の自然や史跡を歩く『ちはら散歩 彼岸花の里を巡る』(ちはら台コミュニティセンター主催)が9月24日に開かれた。参加者20名をガイドしたのは同センター運営協議会理事山田隆男さん(64)。
同コミュニティセンターを出発し、学園通りを南に行くと早速山田さんは街路樹のクスノキや道路沿いのハクウンボクについて説明をはじめた。「冬は富士山が見える」という潤井戸橋で触れたのはちはら台の古代史。橋を渡り左に入り、長柄ダムから村田川に注ぐ『支川村田川(しせんむらたがわ)』にかかる権現橋に着くと「橋の下に堰があり、上流と下流に水位の高低差がある」と話した。
 権現橋を渡った右手は永吉権現山1号墳。周囲を巡る道沿いにエビヅルの実を見つけた山田さん。「エビとはブドウの古名で、エビ色とは実の色を指す」との説明に参加者はメモをしたり、手に取ったり。そばに咲いていたツリガネニンジンを写真に収める女性もいた。永吉地区の田畑の畦のあちらこちらに咲く真っ赤なヒガンバナは「球根に毒があるのでネズミよけになる。水にさらすと毒が抜けるのでかつては食糧難のときに食べた。花の枯れたあとに葉が出てくることからハミズハナミズ、相思華とも呼ばれる」そうだ。
 アキカラマツ、ヤマハッカなど秋に咲く野草の名を次々に教わりながら、日蓮宗平野山永久寺へ。「江戸初期からあった松戸市の本土寺の末寺と市原市中野光徳寺の末寺が大正元年に一つになった寺。明治9年に永吉小学校が開校された場所で、のちに合併し、三成小学校から市東第一小学校になった」とのこと。
ツリガネニンジン 「今日のクライマックスはもう少し」の声に励まされ、永吉入口バス停近くから県道130号線を渡り、稲刈りの終わった田んぼ道を進み平野神社に到着。ヒガンバナの群生が姿を現すと参加者は歓声をあげた。社殿右手には月待信仰の名残りとみられる二十三夜塔。平将門の愛妾『桔梗の前』の塚があったとされる浜野ゴルフ場から同神社に移転されたという。桔梗の前は将門を倒した藤原秀郷(ひでさと)の妹。「周辺には将門伝説が多く、将門を裏切った桔梗の前が自害した地なのでキキョウの花が咲かないとの言い伝えもある」そうだ。クリ、アケビ、ザクロなど秋の実りを鑑賞しながら野焼の煙が漂う細い道から県道21号線に出て進み、昭和50年頃まで氏子が毎年富士登山をしたという浅間神社へ。裏手の道祖神と天神様も拝んだ。
 神社正面の道を少し歩くと、土地改良区圃場整備記念碑の前に出た。碑に刻まれた『下野部落稲作の歩み』には支川村田川をせき止め高架水路(箱桶)や深い溝を作り、堰に水を貯めたとある。県道沿いにある下野溜池のほとりには碑にある江戸時代建立の弁天様と水神様が現在も祀られ、隣に昭和6年の道標が建つ。市津公民館で市津地区歴史記念碑の碑文を読んだあと、再び権現橋から川沿いを進み、ちはら台の街に入った。140種の樹木に囲まれた清水谷公園を抜け、6キロを完歩した。

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