12キロのタイムスリップ!下を向いて歩くと歴史が見える?

 10月27日(月)、三和コミュニティセンター主催により講座『歴史を歩く』が開催された。講師は鈴木仲秋さん。鈴木さんは生まれも育ちも新堀で、講座は地理学を織り込みながらの歴史紹介だった。朝9時半に三和コミュニティセンターを出発したメンバーは、夕方4時過ぎまで総距離約12キロを探索した。「古墳はこういうところにあったんだ。昔のここはこういう所だったから、家を建てるならこんなところが安心だ。など、様々なことを知ってもらえたら嬉しい」と鈴木さんは話す。スタートして最初に目指すのは、有木にある長谷寺だ。鈴木さんは道中、「下を見て歩きましょう!」と参加者を促す。畑の中には、古墳時代から平安時代にかけての土器の破片が落ちていることはよくあるというのだ。
 長谷寺に到着すると、あらかじめ依頼をしてあったため本堂を開けてもらったメンバーは『十一面観世音』を見学。「11面あるのは、南無阿弥陀仏と唱えれば、悪人だろうと何だろうと誰でも救われるという意味。肩の張りや眼の形を見れば、いつの時代に作られたものかすぐに分かる」と鈴木さんが説明すると、参加者が観音様の姿を下から覗き込む姿も見られた。また、「お墓も仏と同様に形を見れば作られた時代が読める。昔は墓石ではなく、埋葬した場所の近くに供養塔を作っていた。今でもお墓参りをすると行き帰りの道を変えるのはこのなごり」との豆知識も聞けた。
 山倉ダムを抜けて市原市埋蔵文化調査センターに到着したのは正午過ぎ。軽く昼食を済ませると、同センター職員の案内で白っぽいイノシシ型の埴輪や人面付土器など珍しい展示物を眺める。さらに、講座として事前に申請を済ませていたこともあり、奥の作業場も見学することができた。破片となった土器の土を払い、どの場所から見つかったか記号を記す。細かい作業を見て、参加者からは「根気がいりますね」と感嘆の声。剣や刀が収められている保管室では間近にある古代の物品に大興奮だった。
 名残惜しさを胸にセンターを出発し、その後西広にある前廣神社と大坪にある伝大坪慶秀の供養塔を巡った。「定年退職して、市原の歴史を勉強してみようと最近は講座に参加したり、図書館に行って書物を見ています。初めは分からなかった専門用語も別の講義に行けばふと繋がったりする。市原は歴史も深いしとても面白いです。古墳も掘ってみたくなっちゃいます」、「普段からよく歩くのであまり疲れませんでした。こういう講座はバスに乗って移動して、現地で説明をうけるというのが多いので、とてもいい経験でした」と参加者からも満足の声。違った角度から歴史を見ることができる貴重な時間だった。

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