町の象徴、房州石を使った金谷美術館と合掌造りのカフェギャラリー

 富津市金谷といえば、東京湾フェリーや鋸山で有名な観光スポットだが、房州石の産地として栄え、東山魁夷や棟方志功など多くの文化人が訪れた歴史があることから、約10年前から「石と芸術のまち」を合言葉にした町おこしが進められている。
 その一環として、地域の人々の協力を得て2010年3月にオープンした金谷美術館。フェリー乗り場から3分ほど、国道沿いにある。町を象徴する房州石を外観に使ったシックな建物だ。
 館内に入るとすぐミュージアムショップがあり、中庭に面した休憩スペースでは、抹茶の提供も(地元有名菓子、美波亭の黒糖饅頭付き・500円)。現在、開催中の展覧会は『大島士一展』(6月7日(日)まで)。大島士一(1911~1998)は、幼少期を内大臣秘書官として皇室に仕えた祖父・日高秩父の家で過ごした。東京美術学校卒業後、日展を舞台に活躍した大島は「人物」を生涯のテーマに、昭和初期から平成初期にかけて女性をモチーフにした油彩画を手がけた。
 当時の女性の服飾や流行、風俗が写し取られた色鮮やかな女性像からは、気品とノスタルジーが漂う。また晩年、画家が情熱を注ぎ描いたフラメンコの踊り子たちは、フラメンコの真髄である悲壮・憂愁・歓喜・情熱など感情の動きが表現されている。80~100号の大作に囲まれた会場に立つと、フラメンコの音色が響いてくるようだ。
 敷地内にある石蔵造りの別館は、最高級の房州石が使われており、国登録有形文化財に指定されている。館内1階は本館と連動した展示構成となっており、会期中はフラメンコの映像と音楽が楽しめる。2階は地元の名主であった鈴木家代々の品々を展示。次回の展覧会は6月11日から9月13日まで『アートで見る里見八犬伝展』を開催する。

問合せ 金谷美術館
TEL 0439・69・8111
開館時間 10~17時、休館日 水曜日。入館料 一般・大学生800円、中高生・65歳以上500円、小学生200円、小学生未満無料※(土)(日)(祝)は小学生無料。

 金谷美術館の並びに切妻屋根の民家が見える。ここが今、注目の人気スポット、カフェギャリー『えどもんず』。車では通りに面した門からは入れないが、ガストとGSの間の道を入ると民家の裏手にある駐車場に着く。この築230年の古民家は、54年前に岐阜県白川郷から移築され、当初保養所として使われたそうだが、何十年も倉庫同然だった。その後、町おこしに取り組む地元のNPO法人が房州石資料館としてオープンさせるが、ボランティアでの運営は難しく、新たな担い手を探していた。
 そこへ、たまたま鋸山へハイキングに来て、地元の人たちの活動を知った青山エドモンズさんが、「町おこしに協力したい」と、2012年9月、古民家でカフェギャラリーを開き、東京から通っている。カフェの営業日は毎週(金)(土)(日)&(祝)の昼頃から日没まで。店内に入り正面の囲炉裏の部屋はペット同席OK。カウンターコーナーにはピカピカに磨き上げられたコーヒー器具の数々が並ぶ。中でも見とれるほど美しいのが60年前のエスプレッソマシーン。今も使えるのだとか。店内にさりげなく置かれた骨董品は青山さんの父親が蒐集したもの。
 客席はテーブル&ソファーのある個室もあれば寝っ転がれるような広間の席もある。皆さん、思い思いにくつろぐそうだ。2階はギャラリーで広い畳敷きの広間には、たくさんの絵画作品が置かれてある。ここでは、コンサートも行われ、先日も日本でトップアーティスト3名がボサノバとジャズを演奏し、200名の聴衆が集まったという。
 青山さんはコーヒー農園を経営していた父親の影響で、子どもの頃から豆を煎っていたという。焙煎士の資格を持つ焙煎歴40年以上のベテラン。そんな彼がこだわるのは、「焼きたて・挽きたて・淹れたて」と三拍子揃ったコーヒー。メニューはいたってシンプル。中浅煎りの新豆を使ったブルーマウンテンコーヒーと本日のおすすめコーヒー、ミルクコーヒーのみ。モンドセレクション最高金賞受賞の人気地元スイーツ、見波亭のバームクーヘンとのセットメニューもある。市外からの常連客も多く、皆さん、「古民家も魅力的だけど、美味しいコーヒーとフレンドリーなオーナーに惹かれて」と話す。

問合せ カフェギャラリーえどもんず
TEL 070・6478・7778

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