一枚の写真と共に甦る青春の思い出

~故 大岩幸男さん生誕90年

 今から39年前、昭和51年6月1日、市原市立菊間小学校の1年生児童121名を引率して4名の教師と共に富津海岸へ遠足に出かけた大岩幸男校長。注意を呼びかけたにもかかわらず、危険地域に入り深みにはまり溺れた児童を救うため海に飛び込み、児童を救出したものの、自らは海中に沈み殉死した。享年51歳。同年、崇高で勇敢な行為と讃えられ、教育功労文部大臣表彰、正七位勲五等双光旭日章授与。翌年、飯香岡八幡宮の境内に大岩幸雄さんの胸像が建立、また、菊間小校門右の一角には碑が建てられ、教育会館内にはブロンドの額が設置された。
 菊間小に校長として赴任して3年目であった大岩さんについて、当時、この遠足に参加していたという女性は「校長先生は、いけないことはいけないと、きちんと諫めるけど、優しくていつもいっぱい遊んでくれた。みんな子どもたちは校長先生が大好きで先生と遊びたがっていた。私は命日になると菊間小の碑に花をたむけていた」と語る。
 そのように子どもたちから慕われ、教師たちにも尊敬されていた大岩幸男さんが、今年、生誕90年を迎えた。そこで、息子の大岩裕幸さんは、父親が所蔵していた写真の中から、地元、鶴舞中学校で教職についていた昭和24年4月から昭和42年3月までの18年間の卒業写真と修学旅行の思い出を綴った写真約100枚を選び『一枚の写真と共に甦る青春の思い出~懐かしき学びや 鶴舞中学校』を市原鶴舞郵便局で5月29日まで開催することとした(見学できるのは郵便局の窓口が開いている(月)~(金)9~17時)。
 会場を訪れていた大岩さんの教え子だったという女性は、懐かしそうに写真に見入り「文子だから、ブンちゃんって呼んでくれた。優しくて本当にいい先生だった」と微笑み、他所から嫁いできたという女性達は、知り合いや夫の顔を探して、歓声をあげていた。 
 大岩裕幸さんは「写真の一枚一枚が青春のひとこまであり、忘れることのできない思い出ではないでしょうか。是非、同級生の方々とも連絡を取り、一人でも多くの方に足を運んでいただき、青春の日々を思い出していただけたら。今はなき鶴舞中の古き良き時代を一堂に集めました。また、なかなか目にすることができない、明治期から昭和初期の鶴舞小学校の修了証等も展示しています」と話す。

問合せ 市原鶴舞郵便局
TEL 0436・88・2001

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