どうして捨てるの?猫だって、生きているんだよ

 新しい家族を迎えてみよう。そう決意してペットを手に入れる家庭は少なくないだろう。だが、その決意の固さがどれほどのものか意識したことがあるだろうか。「現在、袖ケ浦公園には約百匹の飼い主のいない猫が住んでいます。特に子猫が置き去りにされるのは繁殖期後の年2回。車で連れてきて捨てて行く。多い時は月に3、4回あります」と話すのは、袖ケ浦公園で猫を守る『袖猫パトロール隊』の代表、大島三郎さん。
 袖猫パトロール隊は、犯罪である猫遺棄防止啓発活動、及びすでに捨てられてしまった猫の避妊・去勢の実施啓発活動をしている。だが、それだけではない。「生きている動物の世話をすることはとても大変です。公園での餌やりは毎日欠かせませんし、体調が悪ければ病院へ連れて行き、入院や投薬の必要があります。また、猫の里親を探すための里親会もしています」と大島さん。
 同パトロール隊の結成のきっかけは、去年の6月に地域行政の無関心さに憤りを覚えたこと。それ以降、前出の活動をボランティアで続けている。現在、メンバー10名が交替で給餌もしているが公園なので、時間も大体夕方5時過ぎから9時近くまで。「とても簡単にできることではありませんが、主婦の方も多く人手は不足しています。もしお手伝いしていただける方がいらっしゃれば助かります」と大島さんはいい、これからの目標を現在の活動の先を見通して「飼い主のいない猫をゼロにすること」と続けた。
 確かに、パトロール隊のおかげで避妊・去勢は進み、お腹をすかせる猫もいなくなっただろう。だが、飼い猫より過酷な環境で生活する彼らの寿命は、長くて5、6年くらい。『猫の公園』として有名な場所には、猫目当てに遊びに来る人もいる。だからこそ、近隣の市から遺棄をする人もいるのだとか。
 「最近、通報により書類送検された夫婦もいます。動物の遺棄は犯罪です!私は、猫を捨てる人に聞いてみたい。どういう想いで捨てるのか!と」と悲痛な声。川や山へ捨てれば命を殺してしまう、でも飼えない。公園なら自然の中で生き伸びていくのでは、と中途半端な気持ちが悲惨な猫の姿を生んでいるのだ。いかに飼い主の決意が必要かを改めて思い知らされる。そのため、同パトロール隊は里親活動も行っているが、飼い主を決めるまでには充分な対策が練られている。「一度で手渡すことはしません。こちらで終生飼っていただけるかを確認の上、署名・捺印をして契約書を交わします」と、大島さんは飼い主候補の人柄・家・猫のスペースがあるかを重視する。
 首都圏とはいえ、千葉県中房総の行政による猫への対策はまだまだいき届いていない。不幸な猫をなくすためには、住民一人一人の認識の高さが求められている。

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