「雪国」の夏休み
山里 吾郎

 「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」。小説「雪国」の冒頭文。川端康成は何回となく湯沢を訪れ温泉旅館に逗留。実体験を綴るようにこの名作を書き上げた▼残暑から一転、秋の気配を深めた8月下旬、「雪国」のふるさと、新潟県・中越地方を旅した。今回も孫たちの夏休みに同行した県外紀行▼「電車の旅も体験させたい」と東京駅で待ち合わせ、上越新幹線に乗り込んだのが午前9時半。そこからわずか1時間半、昼前には越後湯沢駅に到着した▼曇り空。前方に見えるのは三国山脈だろうか、うっすらと霧に霞んでいる。送迎バスまでの空き時間を利用、まずは「南魚沼産」の暖簾がかかった駅ナカの飯屋で、卵かけご飯をかきこんだ▼多くのファミリーでにぎわう上国のホテルは孫たちが決めただけあって充実したプレイランド。初日は天気の悪さも考慮してニジマス釣りとつかみ取りに挑戦。格闘後、ふだんは余り魚を口にしない子供たちが、その場で串焼きされた獲物にかぶりつく▼2日目も曇り空だったが夏休みの楽しみはやはりプール。お目当てのウオータースライダーなど各種のアトラクションに挑むタフな子供たちに終日つきあった▼最終日。湯沢駅に戻り徒歩で「雪国館」へ。深雪地の厳しい生活様式を伝える郷土資料と合わせ、川端の足跡、舞台となった高半旅館、駒子のモデルとなった芸者・松栄、「雪国」にまつわる絵画など“大人の旅”をたっぷり満喫した▼最後はロープウエイで湯沢高原へ。季節外れのアジサイや色鮮やかなニッコウキスゲに囲まれた1000メートルの高台から小雨に煙る温泉地の風情を楽しんだ。

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